『SDM』 VOL.57
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――来年4月から開講する「ヒントン・バトルダンスアカデミー(以下略‥HBDA)」のそもそもの立ち上げはどのような経緯があったのですか? もともと〝よしもと〞とは、1987年のなんばグランド花月のこけら落としショーを頼まれて以来、仲良くさせていただいています。今回の話は2013年の再演で来日していた時に、「よしもとのボス(社長)から話がある」と言われていてとビクビクしていたのですが(笑)、その話が今回のHBDAの話だったんです! もう驚きすぎて言葉もなかったのですが、素晴らしい機会をもらったと思い、即答でOKしたんですよ!――なるほど! もともと日本や〝よしもと〞とはつながりがあったのですね! それと「ハックツベリー」というTV番組の「Road to BROAD-WAY!」というオーディション企画で日本人のダンサーにも 接していたので、日本人ダンサーの特性や弱点みたいなものが私には見えていたんです。 そこをしっかりとトレーニングできたら、「日本人特有の新しいスタイルやアーティストが生まれる!」という思いもあったんですよ!――ヒントンさんから見た、その「日本人ダンサーの長所や短所」はどんなところですか!? まず良い所から言うと、学習の早さ、応用力、対応力というものが本当に高いと感じました。(前述の)番組内のオーディションが、限られた時間の中でバレエ、モダン、ヒップホップ、リズムタップの4ジャンルを全て覚えなくてはいけないという内容だったのですが、できないなりに頑張る、いかに早く覚えるか、そういうところが素晴らしいと感じました。 それと弱点については〝自己表現〞ですね。マネは上手いのですが、そこに自分の感情を動きを振付けに込めて踊る、自分の何かを表現するということが苦手なんだなという印象でした。――HBDAでもバレエ、モダン、ヒップホップ、リズムタップの4ジャンルをレッスンされるとのことですが、なぜこの4ジャンルなのでしょうか? 僕が若かった頃、いろんなダンスを勉強しましたが、その中でも特にこの4ジャンルが力を入れてきたものであり、この4つができるようになると自分のダンスの引き出しがものすごく大きくなるんです。 自分が何かを創り出す時も、いろんな引き出しから様々な要素を取り出して創ることができる! もちろん、ただ〝ヒップホップ〞と言ってもとても広範囲なものなので、現代のコマーシャル的なものからオールドスクールまで、HBDAでは幅広く網羅するつもりです!――そうなんですね! この4ジャンルに注目するのは、ブロードウェイでは広く行なわれていることなのですか? これは僕のオリジナルの教え方と言ってもよいと思います。最近アメリカでも様々なジャンルをクロストレーニングする流れが少しあるのですが、まだ足りないと僕は思っているんです。 やはり、どんなダンスを求められても全てに対応できることがダンサーにとっては大事! 今はヒップホップが必要とされることが多いですけど、何年後かには全く違うジャンルが主流になっていると思います。 その時そのときの流れにに対応できるダンサーであり続けることが重要ですね。――ちなみに、ヒントンさんが過去に「自分が対応できないダンス」を求められた時はどう対処したのでしょうか? 単純にそのジャンルのレッスンに通って習得する、ということを繰り返していましたね。例えば「Sophisticated Lady」というタップがメインの舞台があったのですが、オーディションに臨んだ時、僕はタップが全くできなかったんです。 事前に師匠に相談したら少しルーティンを教えてもらって、あとは「タップシューズではなくソフトシューズを履いて、タップしているふりをしなさい」と言われたぐらいで。 審査員が足下を見ていると思ったらターンやスプリットをして、顔の方を見ていると思ったらあたかもタップを踏んでいるかのような表情をする。そうやってオーディションを乗りこえました(笑)。 もちろん合格後はちゃんとタップを勉強しましたが、こちらの格言で「Fake it till you make it!(できるまでできるフリをし続けろ)」という言葉があるくらい重要なことなんですよ!日本人ダンサーの長所と短所が私には見えていた!この4ジャンルができると、ダンスの引き出しが拡大される!できるまで、できるようなフリをし続けろ!12

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