『SDM』 VOL.57
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ダンス、演劇、J-POPを融合させたパフォーマンスを武器に、これまで5回の公演を成功させてきたエンターテインメント集団、梅棒。第6弾となる今回は規模、内容共に格段にグレードアップさせて東京・大阪の2都市開催となった。多くの人々が絶賛した、梅棒史上最高傑作のステージをレポートしよう! 第6弾の梅棒公演は、歴史的劇作家シェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」を、新たなる解釈、そして梅棒の世界観で表現した作品だ。舞台は人間とロボットが対立する荒廃した未来の世界。偶然出会い惹かれ合う人間のロメオとロボットのジュリエッタが、人間軍とロボット軍、そして身を隠していた地底人たちによる三つ巴の波乱に巻き込まれていく―。 今回、最も注目を集めたのは、ファンタジックな世界観を創り上げるこれまで以上に豪華な顔ぶれのキャスト陣。客演のメンバーも、それぞれが抜群の個性を発揮しつつ、みごとに〝梅棒ナイズ〞された新たな一面を輝かせ、劇場に詰めかけた観客を楽しませていた。 そして梅棒の舞台の魅力が、J-POPにのせて展開していくダンスとアクティングを融合した独自のパフォーマンス! 誰もが耳馴染みのある楽曲が、物語の場面やキャラクターを表現しつつ、ダンスとともに展開していく。そして不意に、歌詞が芝居の台詞となり要所でダンスを強烈に印象付ける―音ハメならぬ〝歌詞ハメ〞が、まるで感極まったかのように、梅棒ならではの必殺技として炸裂すると、客席からは笑い混じりの歓声や拍手が巻き起こる! また台詞がないにもかかわらず、キャストのキャラクターや心の動きが見事に表現される様子はさすが。さらに同時進行しながら時に交錯する複数のストーリーや、緻密に織り込まれた〝伏線〞も、軸となる物語が進行するにつれ複雑に絡み合い、大きな流れとなっていく……。胸キュンのラブストーリーや迫力のアクション、ほっこりする笑いが観る者を惹きつけ、最後には大きな感動を与えていた。 梅棒史上の最高傑作といっても過言ではないほど、東京・大阪の2都市で多く人を魅了してみせた今回の梅棒公演。エンターテインメントとして、ひとつ上の次元へのステップアップを示すとともに、今後の展開にさらなる期待が高まる舞台となった!東京公演/2016年10月15日(土)-23日(日) @東京グローブ座大阪公演/2016年10月25日(火)-27日(木) @森ノ宮ピロティホール取材・文=安江雄彦text by Takepico Yasue写真=和知明photography by Akira Wachi包む、衝撃のマスターピース!包む、衝撃のマスターピース!SPECIAL STAGE REPORTロボットたちが現れいきなりピンチに……。そこに人間軍が登場し、最後はロメオの活躍もありロボットを撃退!物語のはじまり――、ロボットの発明によって歓喜する人間たち。ヒロインであるジュリエッタ(梅田彩佳)も登場!!入場時間から舞台に地底人たちが登場。ストーリーテラー的存在のルイジ(伊藤今人)が客いじりをしつつ、物語の世界に誘っていく。Check Point ココも見どころ!!梅棒の舞台は5回観た「SDM」編集者Yでさえ消化しきれないほど見どころが盛りだくさん! その中のほんの一部を紹介しよう!回によって違うアドリブによる掛け合いや客席とのコミュニケーションなど、物語をほんの少し飛びだす場面も魅力のひとつ!舞台は〝なまもの〟!!ジャズがベースの梅棒だが、今回はアニメーションを重要な振付け要素として起用! コミカルな場面や無機質な空気感を巧みに演出した。アニメーションダンス!遠藤誠のアクロバットや殺陣などのアクション、遠山晶司のクラウン(道化師)など、メンバーの得意分野を存分に駆使した多彩な演出が光った!多彩な演出武器!!多様な動線やビジュアルを生み出す可動式の巨大セットや、ハイクオリティな映像が効果的に使われ、観る者を飽きさせずに楽しませた。セットや映像!26

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