『SDM』 VOL.58
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 ウィリアム・シェイクスピアによる世界的な戯曲であり、数々のコンテンツ化が行なわれている「ロミオとジュリエット」。その4年ぶりのミュージカル上演において、ダンスシーンとして注目すべき点は、振付にKAORIalive(Memorable Moment)とAKIHITO(ENcounter ENgravers)が参加していることだろう! 両名ともに『Legend Tokyo』において最優秀作品賞を受賞し、審査員を務めた(本舞台の演出家でもある)小池修一郎氏がその才能に惚れ込み、今回の起用に至ったという。今作の群舞のシーンはまさに、日本最高峰の腕前で振付けられた〝大人数による群舞〞が遺憾なく披露されていた! 物語は、対立するモンタギュー家のロミオとキャピュレット家のジュリエットの恋愛模様を中心に、争いや憎しみ、葛藤が渦巻き、やがて1つの結末へと収束する。活き活きとした登場人物たちの振る舞いや伸びやかな歌唱力、そして群舞で表現される数々のシーン……。 まさにミュージカルが〝総合芸術〞と呼ばれる由縁である、さまざまな構成要素が圧倒的な完成度を放ち、それが演出家小池修一郎氏の手腕により1つの作品へと紡がれる。キャストや作品、ダンスシーンなど、それぞれを目当てに来場した観客たちも全ての要素に満足したであろう、圧倒的な完成度の舞台であった!対立するモンタギュー家(左)とキャピレット家(右)はことあるごとに争いを繰り広げる。時にはコミカルで和気あいあいとした、楽しげなシーンも群舞で表現される。ロミオとジュリエットが運命的な出会いを果たす、キャピレット家が主催する仮面舞踏会。激しくダイナミックな群舞が展開され、登場人物たちの荒ぶる闘争心を表現!ジュリエットとの結婚のことをモンタギュー家の仲間たちからも非難されるロミオ。結婚を認めないティボルト(キャピレット家)に親友を殺され、ロミオは激情し……。教会や屋敷、路上など、シーン毎に変化する移動式の大型セットも見どころの1つ!もう1人のロミオとも言える、抽象的な存在〝死〟はダンサー大貫勇輔(Wキャスト)が好演!ロミオとジュリエットの悲しい死により、両家は永い争いに終止符を打つことを決めた。東京 2017.1.15(日)-2.14(火)/TBS赤坂ACTシアター大阪 2017.2.22(水)-3.5(日)/梅田芸術劇場メインホール取材・文=長濱佳孝text by Yoshitaka Nagahama写真=中島恵photography by Kei Nakashimaシェイクスピアによる世界的な名作「ロミオとジュリエット」のミュージカルが4年ぶりに日本で上演! 日本の誇る演出家、小池修一郎によって新たに生まれ変わったこの舞台の模様をレポート!ミュージカル界の歴史的名作を〝レジェンド〟コレオグラファーが振付!22

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