『SDM』 VOL.59
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―浅野さんは津軽三味線奏者としてかなり幅広い活動をされているんですよね?浅野‥例えばミュージカルの舞台や野外音楽フェス、お笑いの舞台ではワハハ本舗のステージに出演させていただいたり、あまり枠にとらわれない活動をしています! もちろん伝統は大事ですし、僕も誰よりも稽古や勉強をしていますが、どこか閉鎖的な世界でもあるんです。やはり〝三味線〞というものをもっと色んな人に聞いてもらいたいという想いもあって、活動しています!―MARさんは浅野さんのパフォーマンスをご覧になって感想はいかがですか?MAR‥今まで自分が聞いたことがある和楽器のなかで、「はるかにレベルが違う!」ということが動画を見た時点で感じました。三味線って、もっと伝統的で……悪い言い方すると〝堅い〞イメージがあったんですけど、すごいエンターテインメントだなって思いましたね!―逆に浅野さんはMARさんの作品をご覧になってどう思われました?浅野‥僕も今まで〝ヒップホップ〞というと、ダボダボの格好で金のネックレスとキャップをして……という印象がありましたが、みごとに覆されました! MARさんの作品は和のテイストがふんだんに入っていて、子供たちもすごくパワフルでキラキラしていて。一緒にパフォーマンスできたら楽しそうって思いました!―そもそも今回コラボする「ART OF THE“JAPON”」は、なぜ〝和〞をテーマにした作品なのですか?MAR‥今まで〝和もの〞は作ったことはなかったですが、世にある〝和もの〞作品の中で、自分が一番良いものを作れるという自信ができたら作ろうと思っていました。それと、日今まで聞いた和楽器の中でも、はるかにレベルが違う!LAで開催された世界的ダンス大会『WORLD OF DANCE 2016』において3位受賞、そして『Legend Tokyo Chapter.6』でみごと準優秀作品賞〝セミ・レジェンド〟に輝いた名作! ストリートダンスのさまざまなジャンルを取り入れ、和と洋が巧みに、そして現代的に融け合った本作はまさに観る者に爽快感を与えてくれる!『Legend Tokyo Chpater.4』にて、日本語ラップによるオリジナル楽曲を使用し、まさにジャパニーズ・ヒップホップの新境地を提示してみせた名作。歌詞とリンクした緩急自在な振付け、多彩なグルーヴで観る者に強烈な印象を与え、ヒップホップ舞台公演の第一人者である米国レニー・ハリスより審査員長特別賞が贈られた!MAR作品KUJIME作品本をレペゼンするものを自分の歴史の中で1度しっかり作っておきたかったという想いもありましたね。―でも「ヒップホップと三味線」って、なかなかない組み合わせですよね!?浅野‥いや、個人的には、ヒップホップと津軽三味線って、文化的に似ているところがあると思うんですよ!MAR‥そうなんですか!? 浅野‥ヒップホップはスプレーのグラフィティやバトルなど〝なわばり争い〞の要素がありますよね? 津軽三味線も昔の貧しい人たちが生きるために自分のなわばりを主張する、「攻撃的で誰だれよりも大きい音を出して目立とう」という、大衆文化から生まれた楽器なんです!―意外な共通点があったんですね!浅野‥〝バトル〞というほどでもないですけど、民謡酒場で演奏していると知らないおっちゃんがつっかかってきて、どちらがすごいか演奏し合うこともあって! 今回のコラボでもダンスに対して自分がどう反応して、それをMARさんたちダンサーがどう返してくれるのか、そういったところも楽しみたいですね!MAR‥そういったライブ感はぜひ楽しみたいですね。それこそ3回公演ある中で、3回とも観にくるお客さんが毎回違う感動で楽しめるようなパフォーマンスをしたいと思います!―実際にコラボする前に、お互いに確かめておきたいことはありますか?浅野‥何となく理解はしてるんですけど、「ワンエイト」っていうのは「2小節」ということですよね?MAR‥そうですね。8拍でワンエイトです。浅野‥なるほど、民謡や三味線の世界だとぜんぶ2拍ずつの数え方なんですよ。あと「ワン、エン、ツー」の「エン」って何ですか?MAR‥音をより細かく区切ってる感じですね。ワンとツーの間に音が入ってくるイメージです。浅野‥なるほど理解できました! 今まで「音を8回数えてるのに4カウント?」って思っていて(笑)。―長年の疑問が晴れて良かったです(笑)。では今回のコラボに対する意気込みをお願いします!MAR‥一緒に作品に出演する子どもたちも「生音で踊らせてもらう」ことに感謝を込めて1回1回を大切に踊って欲しいと思います。それと、〝津軽三味線〞というものが今まで自分が想像していたよりもはるかにすごいものと分かったので、そこにしっかりと自分たちのダンスをのせて、よりエンターテインメントとしてお客さんに楽しんでもらおうと思います!浅野‥津軽三味線というものはとても曖昧な楽器で、音程にしてもリズムにしても、譜面に表せないような部分があります。今回はMARさんをはじめとするダンサーのみなさんとの相乗効果で今までに聞いたことがない三味線の演奏ができそうです! なので、ぜひそこに期待して公演を観に来てほしいですね!ヒップホップと津軽三味線の意外な共通点!?相乗効果で今まで聞いたことがない演奏を!ダンス公演の新たなる〝発明〟が生まれる!『FINAL LEGEND Ⅴ ―2.5次元コレオグラフィ―』2017年5月5日(金祝)-6日(土)浅草公会堂http://legend-tokyo.com/final/『FINAL LEGEND Ⅴ』作品コラボINFO開催直前!自分の歴史の中で日本をレペゼンする作品を、1度しっかり作りたかった。ヒップホップと津軽三味線は文化的に通じる部分がある!23

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