『SDM』 VOL.60
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―いろいろお聞きしたいことはあるのですが…、まずそもそもどうしてブレイキンがユース五輪の種目に採用されたのでしょうか? 山田:まず私の所属する日本ダンススポーツ連盟(以下略:JDSF)とは、スポーツとしてのダンスを全国に広めるための公益社団法人で、その上部団体である世界ダンススポーツ連盟(以下略:WDSF)は国際オリンピック委員会(以下略:IOC)に承認されたダンス関連の唯一の団体です。 そこで、もともとJDSFもWDSFもダンススポーツの種目化をIOCに働きかけていました。具体的な詳細はわかりませんが、そういった動きの中でユース五輪であれば若者向けのダンスは外せないとIOCが判断し、若者向けのダンス=ブレイクダンス、となったのだと考えています。 ―では、ブレイキンの種目化に関してJDSFさんはどのような活動をされているのでしょうか?山田:もともとJDSFの中にさまざまなダンスジャンルを扱う「ニュージェネレーションダンス本部」という部署があり、その中に新たに「ブレイクダンス部」を創設し、その部長としてKATSU1さんに就任していただきました。 「いかにユース五輪を成功させるか」ということを目的に、ルールの提言やアンチドーピングの講習会などを行なっています。―KATSU1さんがこの立場になられた経緯はどのような流れがあったのでしょうか?高橋:もともと『Legend Tokyo Chapter.4』の時に山田さんが審査員として参加されて、その時のつながりで今回の「ブレイキンの種目化」について、レジェンド事務局の方に山田さんから相談があって……。 ただ、レジェンド事務局もストリートダンスだけどどちらかと言うと舞台・エンタメよりでブレイキンのシーンに親しいわけではない、そこでヒップホップカルチャーに精通していて中立的な人間、ということでレジェンド事務局から山田さんに私を紹介されたんです。―じゃあ高橋さんが中心となって動く……ということにはならなかったのですか?高橋:やはりこれから新しいことを始めるということで、若くてエネルギーがある人じゃないといけない。 そしてオリンピックですので、活動が世界に通じていること、国内でも人望がある人……、それとシーンの礎を築いてきた諸先輩方をリスペクトしながら、自分が矢面に立って行動できる人。 そういったエネルギーと精神性を持っている人となるとKATSU1君が適任だと考えたんです。山田:もちろん、高橋さんからの助言だけではなく、色んな方に相談した結果、KATSU1さんの名前が圧倒的に多かったんですよ。WDSFからも提言されたぐらいですからね!ユース五輪であれば、若者向けのダンスは外せない!?ユース五輪であれば、若者向けのダンスは外せない!?若くてエネルギーがあり、世界に通じて、国内の人望もある人若くてエネルギーがあり、世界に通じて、国内の人望もある人14歳から18歳まで(ユース世代)を対象としたオリンピック。通常のオリンピック同様に夏季大会と冬季大会があり、4年ごとに開催。夏季大会は2010年、冬季大会は2012年より開催され、意外にその歴史は新しい。2018年ブエノスアイレスにて開催される夏季大会にてブレイキンの正式種目化が決定している。topic.01ユースオリンピックとは?ヒップホップのカルチャーのこともちゃんと伝えていかなければいけない。ヒップホップのカルチャーのこともちゃんと伝えていかなければいけない。ユースオリンピックの正式種目にブレイキンが採用決定!特別対談KATSU1(石川勝之)公益社団法人 日本ダンススポーツ連盟ブレイクダンス部 部長Profile>>18才の時にB-BOYのキャリアをスタートし、国内外の数々のバトルで優勝。2004年には世界最強のB-BOY CREW〝ZULU KINGS〟にアジア人初のメンバーとして加入。現在はヒップホップカルチャーの正しい理解の普及のため世界各国を股にかけ活躍し、今回のブレイキン種目化についてはJDSFブレイクダンス部長としてブレイキンの正しい競技化の在り方に尽力している。ブレイキンが国際スポーツ競技になる日。ブレイキンが国際スポーツ競技になる日。昨年末、ダンスシーンをにわかに賑わせた「ブレイキンのユースオリンピック競技正式種目化」というニュース。さまざまな憶測から賛否両論まで飛び出したこのことについて、実施の当事者である日本ダンススポーツ連盟の山田氏、B-BOYのKATSU1氏、両人をつないだ高橋氏に語ってもらった!13取材・文=長濱佳孝text by Yoshitaka Nagahama写真=井上治photography by Osamu Inoue

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