『SDM』 VOL.60
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―先ほど、「ルールを提案している」とのことでしが、ルール決めは日本が行なっているのですか? 山田:簡単に言えば「日本が真っ先に手を挙げて提案した」という感じですね。そもそもブレイキンに関して、すでに日本には金メダル候補がいるわけですよ。それが不完全なルールでジャッジが政治的に影響されたり、ルールそのものが日本選手に不利に作られてしまった、その結果メダルがとれなくなってしまった……。 そういうことは絶対にあってはならないんです。だから日本がまず、「ちゃんとやっていこう」ということを示すためにも、率先してルールのたたき台を提出したわけです。他の国からルール提案はされていないですね。―「日本が提案したルール案が採用されるかどうか」という段階なのですね?山田:はい、ですが簡単にはいかない状況ですね。先日もスカイプでの会議がありましたが、なかなか理解されるのは難しいです。※ストームはどういう立ち位置なのかな? WDSFの中では彼が中心になっている感じはありますが……。KATSU1:WDSFの方にも何人かB-BOYはいますが、中心的に発言しているのはストームですね。―日本が提案したルール案はどのように考えられたのですか?山田:スポーツである以上、「ジャッジが変わったら結果も変わった」なんてことはあってはいけない、客観的な基準が必要です。 文化という面とスポーツという面、両方を大切にしながらB-BOYのみなさんと検討していきました。KATSU1:実際にはブレイキンの持っている要素、アクロバティックな要素や完成度……そういうものを基に、それを数値化していく感じですね。 もともと※O.U.R.Systemという、B-BOYシーンで唯一ポイント制になっているジャッジシステムがあるんですけど、僕らが考えたシステムも8割ぐらいそれと同じような感じになったんです。山田:ただ、ストームがどちらかというとO.U.R.Systemはダメなんだというスタンスなんですよね。―今までなかった新しいルールを作るというのは、一筋縄ではいかないものですね……。KATSU1:それは今回一番苦労したところで、本当にたくさんの人の意見を聞きに行きました。 僕も現役のB-BOYですけど、同じ動きでも人によって感覚が違ったりするんですよ。そもそも僕自身、技に対して難易度を付けるということがものすごく違和感がありました。 でも、本当に白黒はっきりつけるなら、1つの方法としてはあってもいいのかなと……そこのバランスをとるのがものすごく大変でしたね。―確かに技の難易度は個人間で感覚の違いがありそうですね。山田:こういうのは専門家になればなるほどダメなんです。フィギュアスケートも同じで、「回転ジャンプが高得点なのは本当のフィギュアじゃない、スケートの本質を失っている」という専門家もいます。 だけど、「じゃあ他にいい方法はあるんですか?」という状況の中で成立している。だから我々が創る新たなルールに関しても、「それは本当のブレイキンじゃない」と思われる人は必ず出てくると覚悟しています。―では最後に、ユース五輪のブレイキン種目に向けて、今後の意気込みをお願いします!高橋:現在、僕は中から何かを動かす立場ではありませんが、 地方でコツコツがんばっている子供が夢を見れるような環境になって欲しい。 そしてこのヒップホップカルチャーが社会に認められて、深く理解、浸透していって欲しいです!KATSU1:まずは最終予選を開催国として絶対に成功させないといけない、そして日本から金メダリストを出したいですね。 それと同時にこのカルチャーのことも平行して伝えていって、夢のある現場を創っていきたいと思っています!山田:ダンスをがんばっている子供が〝日本を代表する五輪選手〞になるので、周りの目も変わってくると思いますよ。 現実的な話、メダルを獲ってくるのとこないのでは大きく違うので、ぜひ選手にはメダルを獲っていただき、それがまた次の世代の子供たちの夢になればいいなと思います!※B-BOYシーンにおいて現在の基礎的な動きとされるフットワークや様々なパワームーブを創りあげた伝説級のB-BOY。※カナダのB-BOY、Dyzeeによって考案されたジャッジシステム。ファンデーション、オリジナリティ、ダイナミック、正確性、戦略、といった5つのポイントをそれぞれ別のジャッジが採点する。韓国のバトルイベント『R16』で採用されている。※図の下部の団体が上部の団体に対して加盟・承認を受けている。ブレイキン種目化に関する組織図topic.04JDSF 公式サイトhttp://www.jdsf.or.jp/2018年10月の時点で16~18才である男女が参加可能。2017年7月末までの動画審査、(日本人の場合)2017年12月に台湾で開催される大陸予選、2018年5月に日本で開催される最終予選を通過した者が代表選手となる。topic.05選手として出場するには?https://www.breakingforgold.com/Information日本が率先して提案したルール作り!日本が率先して提案したルール作り!本当に白黒ハッキリさせるなら、1つの方法としてあっていい。本当に白黒ハッキリさせるなら、1つの方法としてあっていい。「本当のブレイキンじゃない」と思う人もいるでしょう。「本当のブレイキンじゃない」と思う人もいるでしょう。動画審査サイト若くてエネルギーがあり、世界に通じて、国内の人望もある人に。若くてエネルギーがあり、世界に通じて、国内の人望もある人に。高橋 純一郎有限会社トップアッププロダクション 代表取締役Profile>>90年代初めからイベントのプロデュースを行ない、01年4月にストリートダンス専門スタジオ「pineapple studio」をオープン。ヒップホップカルチャーに広く精通し、東海のダンスシーンにおけるキーパーソンとして活躍。近年では日本初のストリートダンスプロリーグ『DANCE LEAGUE』の監事として、その発展と普及に尽力している。各部署ストームらを中心としたブレイクダンスの部署…国際オリンピック委員会 International Olympic Committiee各部署ニュージェネレーションダンス本部各部署各部署各部署イベントプロモーション部マネジメント部ブレイクダンス部………世界ダンススポーツ連盟World DanceSport Federation各スポーツの世界連盟の数々日本ダンススポーツ連盟Japan DanceSport Federation日本オリンピック委員会Japan Olympic Committiee15

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