『SDM』 VOL.61
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―DAZZLEと言えばやはり〝舞台公演活動〞があると思いますが、そもそもなぜ舞台公演を行なっているのでしょうか? 自分たちにとってそれが一番大事だと考えているからです。イベントに呼ばれて5分のショーを見せることをずっと続けていくのではなく、自分たちだけでお客さんを呼ぶ、楽しませる必要があると思って、舞台作品を創り出しました。その第1回公演がちょうど10年前の2007年でしたね。―10年前から! そこまで続けられる原動力は何なのでしょうか? 自分の中で表現したいことや自分も観てみたいと思うものが常になくならないんです。「こういう話をダンスで表現したら面白いだろうな」ってことがずっと頭にあるから、モチベーションがなくなることがないですね。―では、今度の新作公演も「これをやったら面白そう」というアイディアがあるんですね! 今度の舞台は、昨年「Sleep No More」と「then she fell」という公演をニューヨークで観たのがきっかけです。〝イマーシブ(没入・体験)〞形式といって、会場は劇場ではなく、例えばホテルまるごと一棟全てが舞台。色々な部屋で様々なパフォーマンスが同時進行で行なわれているのを、お客さんが自由に歩き回って観ながらお話を読み解いていくというものだったんです。―まったく今までの舞台公演とは違った形式ですね! その公演を観た時に、素直に「面白いな」って思ったのはもちろん、「同じ環境を与えられたら僕らの方が面白いものを創れる」と思い、今回の新作公演をこの形式で行なうことにしました。 ただ、建物のキャパシティや演出上、1回の公演における客数は60人が限度。普通の劇場のように1000人近くのお客さんに座って観ていただくわけではないので、機構や予算的な問題もあり、きちんと興行として成立させるにはハードルが高い。 でも海外ではやっている人はいる。なのでチャレンジする価値はあると考えました。―前回公演も来場者の投票で結末が変わる斬新なものでしたが、さらにその先を行く感じですね! そうですね。前述のニューヨークでの公演を観たとき、まるで映画の世界に入り込んだような「自分も主役の一人なんだ」と感じたんです。 このようにイマーシブ形式というのは、自分自身が登場人物になったかのように、物語に没入してもらうことができる。その点を意識して構成や演出を考えています。いよいよ開催目前となった『Legend Tokyo Chapter.7』。今や日本を代表する国際的ダンスカンパニーであり、初代〝レジェンド〟として知られる長谷川達也がそのゲスト出展作品について、そして同じくDAZZLEの新作舞台公演について語る!PROFILE>> オリジナルの表現スタイルで見る者を魅了するダンスカンパニーDAZZLEを主宰。過去10回にわたり単独公演を開催し、『Legend Tokyo Chapter.1』最優秀作品賞の受賞、海外の名だたる演劇際に招聘されるなど、日本を代表する国際的ダンスカンパニーとして国内外で高く評価されている。Special Interview〝レジェンド〟受賞作品 『花ト囮』2011.7.29 渋谷C.C.レモンホール『Legend Tokyo Chapter.1』Playback01!時に繊細な振付で、時に大がかりな演出で観る者を引き込んでみせた、DAZZLEの代表作「花ト囮」。舞台構成と演出、振付、全ての点においてハイレベルな技量を見せつけ、みごと初代〝レジェンド〟に輝いた。Legend Tokyo Chapter.7〝レジェンド〟ゲスト作品出展長谷川達也(DAZZLE)自分たちだけでお客さんを呼び、楽しませるために。これだったら、僕らの方が面白いものを創れる!舞台作品を作り続けて10年、 創作意欲がなくなることはない!舞台作品を作り続けて10年、 創作意欲がなくなることはない!長谷川達也(DAZZLE主宰)DAZZLE『Legend Tokyo Chapter.7』、そして新作舞台公演に向けて。取材・文=長濱佳孝text by Yoshitaka Nagahama24

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