『SDM』 VOL.61
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予定調和と意外性、そのバランスが難しい!2017年の〝自分自身〞をクリアにステージに乗せる!―小池先生が舞台を演出する上で大事にされていることを教えてください。 まず「初めて観る人でも面白く感じられるかどうか」を第一に考えています。ただ同じように「作品の独自性をどこで印象づけるか」というところもすごく重要なんです。その為には、実はスタッフの選び方がキーポイントだったりするんですよ。―スタッフの選び方ですか? それこそ演出家や振付師の作品カラーに合う人で集まれば平和に進みます。だけど予定調和だけだと結果として面白くなくなることもある。そのためには〝意外性〞も必要。そのマッチングが難しいんですよね。新鮮さや目新しさばかりを追い求めてもいけないしバランスですね。―では、小池先生が一緒にお仕事される振付師に求めるものは何ですか? やはり前提として「創ろうとしている作品のカラーに合うか!?」という点はあります。バレエ系なのかジャズ系なのかストリート系なのか、求められるダンスは作品のカラーによってだいたい決まります。けど、そこに意外性や独自性をもたせたいとも考えている。だから振付師の皆さんはご自身が追求していることをドンドン深くクリアにしていかれると、いろんなプロデューサーや演出家、仕事を発注する側にとって「この人に頼みたい」と思える何かが生まれると思いますよ!―ちなみに振付師に注文を付けるときはどのように伝えられていますか? 「踊りとしてはこれが」「ノリとしてはこの方が」「ストーリーからすると」……といったいろんな角度で見ながら判断して段階を経て指示する感じですね。 もちろん全容がクッキリしてきたら結局最初のかたちに戻す……ということもあります。けど、やろうとしていたこと、上手くいかなかったこと、それらをクリアにして最終的に元に戻ることは最初の段階とは全く意味が違ってくるんです。 特にダンスとして面白いことと、ストーリーとして意味を持たせることって相反してしまうことが絶対にある。その接点をどう創っていくか!? そのバランスはいつも非常に難しいんですね。―『Legend Tokyo』昨年度優勝者のAKIHITOさん(ENcounter ENgravers)を舞台の振付に起用されましたが、そのご感想は? AKIHITO君にとって、「知らない人たちに振付を創って覚えさせていく」というショー・ビジネスのやり方は新鮮な経験だったかと思います。ただ、その中でも非常にきっちりと進めていて、ダンサーとしてのキャリアの深さを感じさせてくれましたね!―では、『Legend Tokyo』審査員として今年で4回目になりますが、改めて前大会を振り返ってみたご感想は? やはりENcounter ENgraversがものすごく成長した姿を見せてくれたことが一番驚きました。 ほかにも何度も挑戦されている方たちの作品の創り方も研ぎ澄まされてきて、どんどん進化しているように感じました。例えば〝和もの〞にしても、いろんなバリエーションの作品があって振付師のみなさんのチャレンジ精神と意欲をすごく感じましたね!―最後に今大会で期待したこと、審査ポイントを教えてください。 これも毎年感じますが「始まりは面白そうなのに、最後は結局どうなったのか分からないまま終わる」とい作品が非常にもったいない! 最初のツカミだけでなく最後に語り終えるだけの〝構成力〞は、やはり今年も重視したいですね。個人的には毎回、いろんな才能が出てくるのがエキサイティングで面白い! 振付師の方々の〝2017年の自分〞というものを、どのようにクリアに舞台に乗せてくれるか? それを見せてもらえるのがとても楽しみです!作品を面白くするためには、実はスタッフの選び方もキーポイントになる!日本が誇る演出家であり、宝塚歌劇団をはじめ数多くの大型ミュージカル作品を手がけてきた小池修一郎。近年では、KAORIaliveやAKIHITOなど歴代優勝者を大型ミュージカルの振付師として起用し、ストリートダンスからも新たなる才能を抜擢し続けている。昨年に引き続き大会審査員長をつとめる彼の視点に映るストリートダンス振付師の可能性とは!?大会審査員長演出家宝塚歌劇団 理事小池 修一郎大学卒業後、演出家をめざし宝塚歌劇団に入団。1986年に演出家デビュー。以後「エリザベート」や「華麗なるギャツビー」など数多くのヒット作を手がけるほか、外部ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」や2007年「世界陸上選手権」の演出を手がけるなど、日本屈指の舞台演出家として活躍! その功績が讃えられ2014年には紫綬褒章を授与されている。※学問や文化、スポーツの分野において、優れた功績を残した功労者に贈られる褒賞。©宝塚歌劇団©東宝演劇部©東宝演劇部撮影:坂口潤哉脚本・演出を手がける新作の宝塚歌劇が今年の9月より東京で上演! KAORIaliveも振付に参画している!演出・訳詞・修辞を手掛けた大人気ミュージカル『レディ・ベス』の再演が今年の10月より東京と大阪で上演される!2017年・春季に上演された話題作! 振付にKAORIalive、AKIHITOといった〝レジェンド〟コレオグラファーが起用された。ミュージカル『レディ・ベス』演出・訳詞・修辞ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』潤色・演出2017年の5月から7月にわたり、東京・大阪・名古屋・福岡で上演された『グレート・ギャツビー』の脚本・演出を手がけた!ミュージカル『グレート・ギャツビー』脚本・演出宝塚歌劇『All for One』脚本・演出ミュージカル界屈指の演出家!数々の興行神話を築いてきたPROFILEJOB FILEJOB FILE面白くするための〝バランス〟、そして最後まで伝えきれるだけの〝構成力〟を大切に!この業界からのアドバイス!『Legend Tokyo』審査員長、日本屈指の演出家『Legend Tokyo』審査員長、日本屈指の演出家からのアドバイス!世界の新文化となるためのアドバイス!34

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