『SDM』 VOL.61
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―商業的な舞台公演にダンスが起用される上で、染谷さんが仕事を依頼したいと思われる振付師とはどんな人ですか? まずは、こちらの要望をしっかりと〝消化する能力〞がある人ですね。それは別にこちらの言うことを聞けというわけではなく、まずこちらの意図を自分の中に落とし込んでから、かつ自分のオリジナリティを入れて提示できる人ということです。 クリエイターですから、なかなか自分のスタイルを崩せなかったりすることもあるでしょうが、新しいことや専門外の要素でも、組み合わせながら創れるようなコレオグラファーには仕事を頼みやすいですね。―要望を満たしつつ、かつ自分の色もだす……という感じですね! そういう意味ではやはり柔軟性が大切だと思います。柔軟性がないと、制作現場では振付師が演出家やプロデューサーと衝突してしまうこともあるんです。 だからこそ、お互いの主張をちゃんと取り入れて、お互いが納得する形のものを目指すことができないといけない。 特に最近、非常に増えているお仕事でマンガやアニメを原作とする〝2.5次元ミュージカル〞は、今までの演劇とは違ったスタイルのものなので、さらに原作の世界観やイメージをちゃんと理解して、ファンも納得できるように振付として形にする能力が必要とされています。―確かに、マンガやアニメの作品独特の世界観を表現することは難しそうですね……。 そういった点では、「ぴあ」としても共同企画開催させていただいている『Legend Tokyo』はすごく可能性を感じます! 実際に2015年にZoo-Zooさん、2016年にENcounter ENgravers、本大会で「ぴあ賞」を贈った方に振付けを依頼しましたが、2人とも非常に評判よく、みごとに原作の世界観を表現してくれましたね!柔軟性をもって要望を消化し、個性を入れて形にする。―『Legend Tokyo』では、昔と比べて大会の作品の変化は感じていますか? 僕は2012年度大会からずっと観てきておりますが、これも先ほどのお話と一緒で、やはり「この大会とは何なのか?」という本質をちゃんと理解して臨んでいる振付師は年々進化を感じますね。 特に大会としては渋谷公会堂、舞浜アンフィシアター、横浜アリーナと、それぞれ全然違う形状の舞台で行なわれてきたのに、コレオグラファーのみなさんがきちんとその舞台を研究して作品を創られていることは素晴らしい! そして今年は東京国際フォーラムのホールA! ステージも客席も広い、かつ久々の正面からのフレームで観られるプロセニアム形式の劇場。これは面白くなりますよ!―ちなみに今大会の会場はどのような印象ですか? キャパ5000席と広いけど、アリーナみたいに遠くに演者がいるわけではないので、お客さんは観やすいですよね。というか普通はダンスのイベントで借りれるような劇場じゃないですよ、ホールAは! よく借りられたなと思います(笑)。やはり国際的、文化的なイベントが多く開催されていて、さらに東京の一等地。あそこで作品を披露できるということは誇っていいと思いますし、参加されるみなさんには誇りを持って演じていただきたいです!―では、審査員としてはどのような点を重視されますか? まずタイトルがあって、それをどう表現しているのか、音楽や衣裳とどうマッチしているのか、5分間の作品、審査員はどういう人たちで、どういう審査方法なのか、そういったことをしっかり理解しつつ自分ならではの作品を見せていただきたいですね! ビジネスの現場でも「その環境が何なのか?」理解する能力は常に必要とされます。それを最も理解した方が自然に今年の〝レジェンド〞になると思いますよ!東京、文化発信の一等地。誇りを持って臨んでほしい!日本のエンタメ文化を広げてきた、日本のエンタメ文化を広げてきた、 自分が臨む環境の本質を理解し、自分ならではの個性を表現できる力を!TOKYOをテーマに巨大模型や最新テクノロジーを駆使し、都市の持つ魅力をアートとして表現する企画展を東京ドームシティで開催中!2017年3月に3日間で約14万人超を動員した第2回パンのフェスに続き、9月にも「パンのフェス2017秋」を開催!チケット販売をはじめ、メディア展開やイベント事業でエンタメ文化の発展に貢献し続けている「ぴあ」。近年では舞台公演への振付師の起用など、ダンスと舞台をつなぐビジネスも多角的に展開している。そんな同社の中で書籍やイベント制作などを手がけるコンテンツ・プロデュース部門のトップにインタビュー! その視点に映るエンタメ界に必要とされる振付師とは!?大会共同企画開催ぴあ株式会社 執行役員コンテンツ・プロデュース本部 本部長株式会社東京音協 代表取締役染谷 誓一TOKYO ART CITYby NAKEDパンのフェス2017「チケットぴあ」において日本各地支局の責任者を勤めあげた後、2012 年にコンテンツ事業局の局長に。以後、同局のトップとしてイベント事業の制作や書籍・DVD の制作をとりまとめる。2015 年には株式会社東京音協の代表取締役、2017年にはコンテンツ・プロデュース本部の本部長に就任。同社が関わるさまざまな事業を多角的に企画・統括している。2015年の日本ツアーで12万人を動員した中国舞劇。再演をのぞむ声に応え、この夏日本での再演が決定!舞劇「朱鷺」ぴあ株式会社の創業45周を記念して2017年の9月9、10日に新木場・若洲公園を舞台に野外音楽フェスを開催!PIA 45th ANNIVERSARYMUSIC COMPLEX 2017コンテンツ制作の総指揮者!エンタメ文化を広げてきた「ぴあ」、PROFILEJOB FILEJOB FILE与えられた環境を理解し、自分ならではのクリエイティブを表現する!この業界からのアドバイス!日本のダンス・エンターテインメント、 35

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