『SDM』 VOL.61
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―イベント業界では、今、ストリートダンスはどのように捉えられていますか? 昔に比べてダンスを起用する機会は増えてきましたね。実は10年ぐらい前は世間一般とダンスというものに対しては非常に距離感があったと思います。〝不良の文化〞のイメージといいますか……、やはり我々の業界ではクリーンなイメージを求めていることが多いので起用することはほとんどありえませんでした。―そのイメージは今では払拭されていますか? ここ5年は間違いなく変わってきたと思いますよ! 特に昔のようなアンダーグラウンドなのものではなく、今は『Legend Tokyo』のように〝踊りを使ったステージ・エンターテインメント〞になってきたと僕は捉えています。そういう良さが世間的にも認知されてきたのではないでしょうか。 昔はストリートダンスは芸術にならないという感覚がありましたが、今は皆さんの努力でそれは随分変わってきましたね!―では、これからストリートダンスに対してどういったものが求められるのでしょうか? 例えば次のオリンピックで新種目としてサーフィン、スケートボード、クライミングが追加されましたが、その理由のひとつが若者のオリンピック離れに対する危惧だそうです。ユースオリンピックでブレイクダンスが採用された流れも同じ理由でしょう。それはオリンピックに限ったことではなく、世の中全体として若者をモチベートして盛りあげようという流れがあるので、ダンスがその鍵となる可能性は充分にありえます。またオリンピックはスポーツの祭典であると同時に、文化の祭典でもあるので、世界に通じる新しい日本の文化としてもダンスは起用されるチャンスがありそうですね!―では、もし振付師が東京のオリンピックに関わりたいと考えて世間的なストリートダンスのイメージは大きく変わった。いる場合、どのようにすればいいと思いますか? イベントや舞台などのメジャーな業界と今からお仕事を広げてネットワークを作っておくことが大切ではないでしょうか。例えば、もし小池修一郎先生が手がける場合は、KAORIaliveさんが起用される可能性が高いですよね。そうやって〝制作チーム〞の一員として名を連ねておくことが大切だと思います。 特にオリンピックの開会式なんて1チームで出来るものではありません。何チームもコラボしなくてはいけませんが、そのどれかのチームに入っていると当然、関わる可能性は高くなると思います。―2019年になってからではもう手遅れということでしょうか? 1年前だとすでに企画は固まっていますよ。今年や来年が勝負ではないでしょうか!? あと、メジャーとの接点を作っていく部分でいえば、振付師自身がタレントとして〝人となり〞を出していくセルフ・プロデュースをした方がいいと思います。例えば、美容師さんって昔は完全に裏方だったと思いますが、テレビに出て面白いことを喋れる人が存在すると業界全体の注目度が変わったじゃないですか。そろそろコレオグラファーも、テレビのバラエティ番組に出るような方が出てきてもいい時代だと思いますよ。―なるほど。では今年の『Legend Tokyo』に審査員としてご参加頂きますが、今大会ではどういったポイントを重視されますか? 2014年に審査員をさせて頂いた時は、ダンスというよりエンタメの大会という印象で、非常に先を行っている印象を受けました。あれから積極的にコレオグラファーの方を提案させていただくことが増えまして、実際に一緒にお仕事もしています。僕らの現場で求められるのはダンスだけではないので、その他の演出技法をどうこだわって組み合わせるかは重要です。 ただテクニック的な部分だけでなく、何を伝えたい、表現したいのか? 作品の〝コアとなる背骨〞を持っているかが大切。実際に歴代優勝者はそこをしっかり押さえられていたのではないでしょうか。2019年ではもう遅い!?今年の動きが勝負となる!2020年に関わることを目指すなら、今からネットワークをつくることが大切!1998年「かながわ・ゆめ国体」、2004年「彩の国まごころ国体」、2017「冬季アジア札幌大会」など、さまざまな国家的スポーツイベントの大会演出を手がける。2014年春、『東京オリンピック・パラリンピック』に向けての建て替えとなった国立競技場の、取り壊し直前の記念プロジェクトの演出を担当!『FIFAワールドカップTM』などの国際スポーツイベントや企業イベントなど、数々の大型プロジェクトを手がけるイベント制作会社T2クリエイティブ、その代表として〝演出〟を手がけてきたのが小林雄二氏だ。まさに市場のニーズに合わせた視点が必要とされる業界で2020年『東京オリンピック』が迫る今、その第一人者の目に映るストリートダンスとは!?株式会社ティー・ツー・クリエイティブ代表取締役社長/演出家小林 雄二国際的スポーツイベントの演出制作「SAYONARA国立競技場」演出株式会社ティー・ツー・クリエイティブ社長、そして演出家として大小さまざまなイベントを手がける。昨今では虎ノ門ヒルズのオープニングセレモニーといった企業イベントや、愛知万博、神奈川国体開会式、FIFAワールドカップ(2002)決勝など、国際的プロジェクトに参画。数多くのイベントを手がけ、空間を演出し、関わる様々な立場の人物を調整する存在として、各方面から絶大な信頼を得ている。大手化粧品会社の表彰イベント、自動車メーカーの国際イベントなど、さまざまイベントの演出を手がけ『Legend Tokyo』振付師を起用している。様々な企業イベントでコレオグラファーを起用!2002年に開催された『FIFAワールドカップTM』の日韓大会では、決勝直前のセレモニーをはじめ、さまざまなシーンの演出を担った。『FIFAワールドカップTM』日韓大会演出日本を代表するイベント演出家!数々の国際的プロジェクトを成功に導くPROFILEJOB FILEJOB FILE多角的な視点と共に、作品に対する〝コアな背骨〟をもって表現できること!この業界からのアドバイス!日本を代表する国際イベント演出家日本を代表する国際イベント演出家からのアドバイス!世界の新文化となるためのアドバイス!36

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