『SDM』 VOL.61
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―まず湊さんはどのようなお仕事をされているのでしょうか? TOKYO MXというテレビ局でイベントの企画制作などをする〝事業局〞というセクションに所属していて、スポーツ、音楽、アイドルのイベント、それから自局の特色でもあるアニメコンテンツを活かした2.5次元の舞台を作ったり、自局以外のイベントのサポートなども行なっています。特に最近はアニメ系のイベントは多くなってきていますね。―ご自身はこれまでにダンスと何か関わりがあったりするのでしょうか? 仕事でダンスを観ることもありますが、実は個人的に昔から、とあるストリートダンサーの大御所の方々と親しくさせていただいて、いちお客さんとして出演されるイベントにお伺したりはしています。比較的にダンスは身近に感じてはいますが、ただ難しいテクニックに関してはまったく解らないですね。―ストリートダンス自体に対してはどのようなイメージをお持ちですか? まだまだ一般的なイメージでは、個性的なファッションや雰囲気でとっつきにくい印象を持たれがちかもしれません。しかし私がよく知っている方々は出で立ちやパーソナリティもしっかりした方ばかりです。他の方々も実際にお話ししたらまた全然イメージと違うのかもしれません。もしダンス業界の傾向的に〝わかる人にだけわかればいい〞と考えてしまっているのであれば少しもったいないですね。―世間的にダンサーのイメージアップに必要なことは何だと思いますか? メディアの露出の仕方にも原因があるのかもしれませんね。アーティストのバックという脇役的な扱いを永くされてきた流れを、今でも引きずっている気がします。 ただ、ダンサー側もテクニック論、いわゆる〝ダンスの上手さ〞でしかアピールしてこなかった節があると思います。もっとフロントに出てくるような立ち位置を目指す世間的なイメージと違って、実際はしっかりしている!?のであれば、別の魅力も打ち出していってもいいかもしれませんね!―では、どんなコンテンツがあれば、ダンサーの魅力を発信できると思いますか? やはり舞台コンテンツとして〝作品〞を広めていくことが1つの方法だと思います。ダンスはもちろん、ストーリーやビジュアルを含めた世界観が短い時間に凝縮されて、その中で何かメッセージやダンサー自身の人間性が伝わると、みんなが観たいというものが出てきて広がっていくと思いますね。そういった意味だと『Legend Tokyo』に近いものがありますね。―湊さんは過去に何回か『Legend Tokyo』をご覧いただいていますがいかがでしたか? 細かいダンスのテクニックだけじゃなく、一般大衆の視点として観ても1つのエンターテインメントになっているなと感じました。 総合的に楽しめるものをジャッジするというコンセプトも面白いですね!―印象に残った作品などはありますか? 僕の視点では、やはり踊りが綺麗に揃っていて上手い作品より、作品全体からメッセージが伝わってくるようなものに衝撃を受けました。 例えば戦争など、社会的なメッセージやコンセプトがしっかり作品にあって、台詞もないのにダンスでここまで人の情念など深い部分まで表現できるのかと感動しました!―では、今年は審査員としてご参加頂きますが、どのようなポイントを重視されますか? やはり皆さん〝作品〞として表現する以上、何か伝えたいメッセージがあると思うんですよね。私はテレビ業界の人間なので、その〝何か〞がいかに楽しめる形で作品になっているかを見極めたいと思います。例え技術的にそこまで上手くなくても、観た後に何か心に残って充実感を得られるもの……、そういった作品に賛辞を贈りたいですね!心に得るものがないと、お客さんは満足できない!「解る人だけ解ればいい」はもったいない。もっと別の魅力も打ち出していくべき!今最も勢いのある漫画家、水城せとなが描く作品の中でも、ひときわ舞台映えする作品を舞台化! その主催を務める。マンガ「北斗の拳」を題材に、ファンを唸らせるほどの世界観やコンセプトを押し出した2.5次元ミュージカル、その後援として企画をサポート。音楽、スポーツ、アニメなど多彩なジャンルのイベント企画制作、または『Legend Tokyo』をはじめ数多くのイベントの後援・PRを行なっているTOKYO MXの〝事業局〟。その中心的なポジションで多くのエンタメ事業を手掛けてきたのが湊朋宏氏だ。東京ならではの文化発信とテレビという大衆的な視点を兼ね備えた彼の目に映るストリートダンス業界とは!?東京メトロポリタンテレビジョン株式会社事業局 事業部長湊 朋宏舞台『黒薔薇アリス』舞台『北斗の拳 -世紀末ザコ伝説-』東京を中心に放送される独自の編成が特徴の東京メトロポリタンテレビジョン(通称、TOKYO MX)のさまざまな部署で重要な役職を歴任。現在では事業局の事業部長としてスポーツや音楽、そして同局が得意とする2.5次元コンテンツなど幅広いイベントの企画制作を担う。かつては事業局でストリートダンス舞台公演を企画したりと、ダンス業界を応援し続けている存在でもある。1958年の初来日以来、50年以上にわたり全国公演が行なわれる「ボリショイサーカス」。その招聘、プロモーション業務を担当!『ボリショイサーカス』宝塚歌劇団で活躍した女優などとファンとの交流の場として、トークサロンを長年にわたって開催!宝塚トークサロンTOKYO MXイベント事業の仕掛人!ジャパンカルチャーを発信し続けるPROFILEJOB FILEJOB FILE技術にこだわり過ぎず、作品を観たあと何が心に残るのかこだわるべき!この業界からのアドバイス!大衆視点を熟知するテレビ局の事業局大衆視点を熟知するテレビ局の事業局その仕掛人からのアドバイス!©宝塚歌劇団/photo by Junko KAWABATA©水城せとな/「黒薔薇アリス」小学館フラワーコミックスα / 舞台「黒薔薇アリス」製作委員会 世界の新文化となるためのアドバイス!40

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