『SDM』 VOL.61
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―今、中国のダンス業界や舞台では、どのようなものが流行っているのですか? そうですね、昔に比べて今は中国のダンサーたちもそれぞれ海外の国へ行って勉強し、外国でダンスの仕事をしている人もいます。また、海外からもダンスのカンパニーを呼んだりしていて、実にさまざまなジャンルやダンスが踊られていますよ! ただ〝中国発〞の新しいジャンルやダンスができるのは、まだちょっと時間がかかりそうですね。海外の良いものをどんどん取り入れている感じはあります。―ダンスのお仕事としてはどのようなものがありますか? そこはまだ中国ではできていないところなんですね。そのためには、ダンスの技術よりも振付の方が重要だと私は思っているのですが、振付師の力量を知るためのコンクールのようなものがないんですよ。―では中国で行われているダンスのコンクールとは、どのようなものなのでしょうか? だいたい3人から7人ぐらいのチーム出場のもので、お客さんとして現場に足を運ぶのはほとんどが関係者ですね。大衆がダンスの現場を観に行くことはあまりないんです。 ただ、中国の面白いところは、CCTVや湖南テレビ※が放送するとものすごい数の大衆が観るんです。やはり国土が広くて人口も多いので、テレビで放送すると一気に広がる! 逆に現場に足を運んでもらうのはこれからの課題なんですけどね。―文化の拡がりや観覧の仕方にもお国柄が表れるんですね。 そこで不思議なんですけど、私も日本で昨年審査員させていただいた『Legend Tokyo』、とても素晴らしい大会でした。もっと日本でもテレビで放送すべきだと思います! 私も20年以上日本に住んでいるので分かりますが、日本でもテレビの影響力はまだまだ強いですよ!大衆にダンスの現場に足を運んでもらうためには。―どのようなところが素晴らしいと感じられたのでしょうか? いくつもありますよ! 1つは参加する人が多く、大衆的でありながら、しかもレベルが高い! 集団が表現する力の強さをとても感じました。それに審査員もダンスの人たちだけではなくて、いろんな業界の〝大先生〞と言われるべき方々が担当されている。作品をいろんな角度から評価する、それはとても可能性がありますし、ビジネスチャンスも広がりますね!―実は日本でもあまり……というより、ほぼない形式なんですよ。 審査方法も良かったですよ。技術がどう、表現はこう、音楽はどうだ……という専門的な尺度ではなく、純粋に「誰もが楽しめる作品かどうか?」というある意味直感的なところ! 人間の直感はすごく重要で、とくに大先生と呼ばれる審査員のみなさまが判断するものはすごく価値があるし、面白いということになりますね!―やはりアジア他地域にも、このような形式のコンテストはないのですか!? ないです! ですから、ぜひこの『Legend Tokyo』を中国でも一緒に展開させていただければと思っているんです! 今度の大会でも、エンターテインメント方面に強い湖南テレビが取材に入りますので、テレビ局も絡めて展開していきたいですね! これはちょっと本当に実現しましょうね!―ぜひ実現したいですね! では、顔安さんが審査員として重視されるのはどういう点になりますか? 重要なのは新しいこと、そして感動、驚き。こういう所は私の中で大事にしている要素ですね。特に新しいものに出会えることを期待します。いい作品にお会いできましたら、今年は日中国交正常化45周年の記念イベントもありますので、そこで文化交流作品として披露していただければと思っていますよ!※中国を代表するテレビ局。CCTVは唯一の全国ネットの国営放送で、湖南テレビは娯楽番組で人気がある。作品を多様な角度から評価することは非常に価値がある。日中文化交流事業を統括する首領日中文化交流事業を統括する首領からのアドバイス!斬新で驚きのあるダンス作品は、国境と言語の壁を越え、感動を与えてくれる。2017年5月に日本の松山バレエ団を招聘。北京の人民大会堂で中国の革命歌劇「白毛女」が上演された。2015年11月、中国最高峰のオーケストラである中国フィルハーモニー管弦楽団を日本に招き、コンサートを実現。ドン現在世界第2位の経済大国としてさまざまな業界を席巻しつつある中国。日本にも100万人以上の中国人が暮らしており、その在日中国人の数々の連盟の重役、東京在住の政府国務員の代表を担うキーパーソンが顔安氏だ! かつては中国を代表する世界的ダンサーとして活躍し、現在は日中文化交流の最重要人物として活躍する彼が考えるアジアに広げるためダンスとは?全日本華僑華人連合会 名誉会長中国海外交流協会 常務理事中華文化促進会 理事Yan An(顔安)[中国] 日本のバレエ団を中国に招聘中国フィルハーモニー管弦楽団日本公演中国・四川省出身。舞踏家、振付家として北京国立総政歌舞団に所属し数多くのコンクールで優勝。1988年に来日し、東京芸術大学に通学後、三菱倉庫株式会社に入社。その後、同社中国広州主席代表に就任、2008年にはK&Q株式会社を設立し代表取締役に就任。現在は中国系の多くの団体や連盟の代表、重役として、日中をつなぐさまざまな文化交流のイベントを手がけている。中国内の数々のコンクールで優勝し、振付家、舞踏家としても知られる。写真は顔安本人による振付作品「黄河」。コレオグラファーとしての活動華僑華人連合の首領!ドン日中文化交流を一手に担う、PROFILEJOB FILEJOB FILE新しいこと、そして観る人に感動と驚きを与えてくれる作品は世界に通じる!この業界からのアドバイス!● K&Q株式会社 代表取締役社長● 中国全国政協海外列席 代表● 北京在日本同郷会 会長● 北京市海外交流会 常務理事● 中国青島誠旺環保科技有限公司 董事● 中華海外聯誼会 理事● 中国僑連海外委員● 四川海外交流協会 副会長● 日本熊猫保護協会 副会長● 日本中華総商会 副会長(前会長)               …… ほかその他の肩書き日本のダンス・エンターテインメント、 41

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