『SDM』 VOL.62
16/68

すべての人たちへ 虹色の花束を すべての人たちへ 虹色の花束を自らのセクシャリティを基に描いた、どこにでもある〝愛〞のカタチ。 『Legend Tokyo Chapter.4』において準優秀作品賞〝セミ・レジェンド〞を受賞したavecoo。以後、受賞作「阿部魁」は数々の場所で披露され、自身の代表作と言うべき存在になった。 そんな〝花魁スタイル〞を脱ぎ捨て、新たな作品で3年ぶりに挑戦する〝レジェンド〞のステージ。大会としては初の過去セミ・レジェンド受賞者の挑戦であり、「いつまでも『阿部魁』の栄光におさまるつもりはない」と公言していただけあって、自然とその作品に注目が集まっていた。 大会終盤、披露されたのはウェディングソングの王道曲に合わせてパフォーマンスが繰り広げられる〝女性同士の結婚〞を描いたもの。そう、自らをオカマであり男性愛者と公言する自らのセクシャリティをくくる〝LGBT〞※がテーマと言える内容だ。 力強い振付や巧みな構成展開にavecooらしさは見えるものの、やさしげな曲調にのせて表現される朗らかな恋愛模様、全身がベージュの衣装など、全編が華美な演出の「阿部魁」と比べるとどこかパンチが弱い……。そう思ったのも束の間、物語は相手への不信感や親の反応など、LGBT当事者ならではの悩みが魅せる身体表現で描写されていき、会場の空気を静かに引き込み始める。 作品終盤、互いに悩み抜いた末、手を取り合ってバージンロードを歩く2人、それを華やかに囲む虹色の衣装のダンサーたちが、最高潮の感動を会場に巻き起こす! 最後に全員が舞台一列に並び、誇らしげにピースサインを掲げる……。その姿はavecooの作品の普遍的テーマである「人は1人では生きていけない」ということを表しているようにも見えた。 そして「過去の自分を超える」という大会前の公言通り、東京国際フォーラム・ホールAという大会初となる最高峰の劇場でavecooは、みごと最優秀作品賞〝レジェンド〞の栄冠を掴み取った!※性的少数者を限定的に指す言葉。女性同性愛者(レズビアン)、男性同性愛者(ゲイ)、両性愛者(バイセクシャル)、トランスジェンダーの頭文字をとった総称。Supported by 東京ステップスアーツ『Legend Tokyo Chapter.7』最優秀作品賞〝Legend〟「あべ子といち子」aveco♀&ichico♀Supported by 東京ステップスアーツ『Legend Tokyo Chapter.7』最優秀作品賞〝Legend〟「あべ子といち子」avecoo作品avecoo作品aveco♀&ichico♀14

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る