『SDM』 VOL.62
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3年ぶりにレジェンドの舞台に挑み、その頂をみごと掴み獲ったavecoo。栄光までの軌跡、作品に込めた思いを、今、ここにぶっちゃける!レインボーに想いをこめて、描きたかったのは悲劇ではなく人生を謳歌している姿――。山口県出身。アーティストのバックアップや振付を行なう一方で、ダンススクールではインパクトのあるパーソナリティと愛のこもった熱い指導で人気を集める。また、作品づくりにおいてはまさに〝ゲイ振り〟といったJAZZ FUNKスタイルと強烈すぎる世界観とステージングを武器に、毎年〝真骨頂〟とも言えるクリエイティビティを発揮している。怖かった、でも失うものは何もなかった。―率直に、優勝されてご感想をお願いします! 純粋にめちゃくちゃ嬉しかったです。というのもアタイのモチベーションをどこに持っていくかを一番悩んでいて……。3年前は〝絶対優勝〞と挑んで、今年もはじめは〝狙うは1位〞だったのが、作品ができていく中でテーマがテーマだけに徐々に〝伝えたい〞へと変化してきて、それがアタイの中で勝負から逃げてしまっている気がしてずっと不安だったんです。でもそれはメンバーの前では決して口にできないし――、作品以上に最後まで気になっていたので、最高の結果で終われて本当によかった!―作品以上に気持ちの部分を気にされていたんですね! メンバーのモチベーションはいかがでしたか? それぞれで色々あるとは思いますが、その子の状態を見て「今はわざと下げて、あとで上げてあげる」とか――、結構そこのコントロールは得意で上手くいったと思います。3年前はそこが反省点だったので、気は使っていましたね!―再挑戦を決めたその理由として、心境の変化などがあったのですか? 当時は2度と出ないと思っていて、大会のことはあまり考えていませんでした。ぶっちゃけ、セミ・レジェンド(準優秀作品賞)のままの方が気持ち的に楽だし、負けるのが怖いって逃げていたんだと思います。でもメンバーに相談したら「相談するってことはavecooさんやるでしょ? だったら私たちもやります。それに失うものも何もないですよね?」って――。 周りの方がアタイのことを自分以上によく理解していて、彼女たちがいてくれたことが大きかったですね。そういった意味で前回負けた後にカンパニーとして活動し始め、舞台やさまざまな現場を経験して、信頼関係があって意思疎通できる環境が整ってきて、今なら勝負できると決心できたのだと思います。嘘っぽいダンスは絶対に許せない!―作品はavecooさんならではのテーマでしたね! NYで開催された世界最大のゲイパレードに訪れて参加者の方々とお話をしたことがきっかけで、やはり私に表現できるのはこれだと決めて――。でも実際に考えると中途半端に表現できる題材ではなくて、最初はLGBTの話からしていったのですが、やっているうちに本質的にはどんな人にも当てはまるテーマなんだというのが分かってきて、徐々に心から踊れるようになっていったと思います。やっぱりメンバーがストレートな子ばっかりの中でどこまで落とし込めるか、東京のLGBTの聖地である新宿2丁目に連れて行ったりもしましたね。―そこまでされたのですね!やはり観ている人に伝えるためには踊り手の理解度が……。 それももちろんありますが、アタイ自身が〝噓っぽい踊り〞が大嫌いなんです。例えばスキルは申し分ないキッズダンサーが、大人の恋愛の曲を意味も分からず〝大人ぶって〞踊るのをよく観るんですが、それよりアタイは下手でも踊り手の気持ちが伝わることを大事にしたい――。だからキャストの2人はもちろん、ダンサー1人ひとり、納得いくまで指導しましたね。―本番を観て、そこは達成できていたと感じますか? 実は正面から観ることができず舞台袖からだったのですが、結果として伝えることはできたのではないかと思います。ぶっちゃけ映像で観たら全然動きが揃っていませんでしたが、大事なのはしっかり気持ちを出すことなので……。―では作品づくりに関してお聞きしていきます。なぜあの曲や物語にしたのでしょうか? 寝る前にYouTubeを観ていて、ポンッと直感で……。結婚をイメージしていたわけではないんですが、その頃に知り合いの同性愛者同士の結婚があったりしたのも重なったのか、アタイの中でしっくりハマったのかも知れません。ゲイパレードで話を聞いた時も、苦しんでいるというより人生を楽しんでいるイメージで、アタイには珍しく明るくて前向きなハッピーエンドの作品ができました。いつもなら苦しんで命を絶っちゃう生き様やバッドエンドの展開を考えると思うんですけど(苦笑)avecooSpecial InterviewavecooProle16

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