『SDM』 VOL.62
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救ってくれたのは、2丁目の友達だった!?―実際に作品づくりをしてみていかがでしたか? すごく難しかったです。自分で選んだ曲なのに振付がまったく作れなくて苦しみました(笑) 素直な曲のイメージで綺麗にクルクル回ってみたりしたんですが、まったくしっくりこなくて――。普段なら作品の頭から振付を作っていくんですけど、どうしても出てこなくて、はじめてサビから作りました。結果として苦労はしましたけど、いままでのアタイの振付とも少し違う、より人間味があって力強さの伝わる振付ができ上がりましたね!―印象に残るシーンもいくつかありました! ダンスの構成自体は「阿部魁」などに比べるとかなりシンプルになっていて、最初は音源も原曲の一曲使い、全体の流れももっとストレートだったんです。そのままある程度でき上がった段階で何人か2丁目の友達に観てもらったら「あんたらしくない」って言われて……。そこから考え直して中盤の暗い〝目のシーン〞を追加したんですが、変えてよかったと本当に思います。 最後は自分で見極めて判断しますが、やっぱり自分だと見えなくなる部分もあるので、積極的に他人の意見を聞くようにしています。本当に助けられました。たくさんの人に支えられて私がいる。―当事者の方々の言葉がやっぱり参考になったんですね! テーマに対してのリアルな意見もそうですけど、あの人たちは感じたことをありのまま言ってくれるので、いつも本当にお世話になっています! 作品を披露した後の挨拶タイムも、DAY.1を観にきてくれたオカマのお友達が「あんたキレイ売りしすぎ。もっとやりなよ、気持ち悪い。」って毒を吐いてくれて……、DAY.2では堂々と舞台に立てました!―確かに他のコレオグラファーがみなさん会釈をする中、あのレインボーフラッグを掲げ同時期に悩まれた経験があるのですか? あったかもしれないのですが、忘れたのか、覚えてないんですよね(笑)。でも家族に聞くと周りからすごく言われていたみたいで……。それでも、レジェンド受賞後、姉が「お前らがバカにしていたオカマの弟が1位なったぞ」ってSNSで自慢してくれて、すごく嬉しかった――。 いまの時代なら学校にも受け入れてもらえると思っています。私も支えられて生きてきたように、当事者だからこそ1つの形としてこの作品を伝えていきたいです。気持ち悪いと思われてもいい、興味をもって受け取ってもらえさえすれば!―では最後に、7代目レジェンドとしての決意をお聞かせ下さい! 『FINAL LEGEND』や企業イベントなどで何度も「阿部魁」を再演させていただき、アタイの代表作として確立していただいたと思っています。振り返るとこの3年間は、それを越えて『Legend Tokyo』で勝つにはどうしたらいいかずっと考えていたのかもしれません。レジェンドという存在があったからこそ、それだけ作品を創る価値も出てきましたし、コレオグラファー、そして作品を高めてくれる場所があって本当に良かったと痛感しました。 ただ、今回で認められたと思っていませんし、また誰かが追いかけてくるし、歴代のレジェンドの方々も大活躍しています。感謝の気持ちを忘れず、アタイにしかできない次なる目標に向かって走っていきたいです!人は1人では生きていけない――。この作品を通して、子どもたちに勇気を!!赤と青のネクタイをしたダンサーたちはスーツの男性や男女で区別される日本人社会をイメージ。移動や何気ないしぐさにも工夫が込められている。赤と青のネクタイをしたダンサーたちはスーツの男性や男女で区別される日本人社会をイメージ。移動や何気ないしぐさにも工夫が込められている。時に男性に揺れ、母親と理解されずぶつかるなど、女性同士の関係に葛藤する相手役の女性。そしてそれを見つめる大きな目は、主人公の女性の心の目を表している。時に男性に揺れ、母親と理解されずぶつかるなど、女性同士の関係に葛藤する相手役の女性。そしてそれを見つめる大きな目は、主人公の女性の心の目を表している。気持ちのすれ違いや誤解、不審などから分かり合えず、一度は別々の人生へと別れる2人の状況をY字につくられたフォーメーションで表現した。気持ちのすれ違いや誤解、不審などから分かり合えず、一度は別々の人生へと別れる2人の状況をY字につくられたフォーメーションで表現した。本当の自分を模索する2人は、まとったさまざま色の布をはがし純白のドレスに変身していく。ダンサーらも蝶がサナギから羽化するように一気に衣装替えする!本当の自分を模索する2人は、まとったさまざま色の布をはがし純白のドレスに変身していく。ダンサーらも蝶がサナギから羽化するように一気に衣装替えする!支え合い、まっすぐ歩いていくと、晴れた空には虹がかかる。〝自分の目で見たものを信じて進んで欲しい〟というメッセージを、最後まで強く伝えきる!支え合い、まっすぐ歩いていくと、晴れた空には虹がかかる。〝自分の目で見たものを信じて進んで欲しい〟というメッセージを、最後まで強く伝えきる!avecoo本人が解説するavecoo本人が解説する〝レジェンド〟受賞作品「あべ子といち子」た姿は印象的でした! 大会後も嬉しい言葉をたくさんいただきつつ、「調子に乗るんじゃないわよ」って厳しく言ってケツを叩いてくれるので、これからも天狗にならずもっと上を目指して行けそうです。オカマの友達はもちろん、いつも一緒に作品づくりをしてくれるメンバー、活躍の場を作ってくれる大会スタッフの皆さんなど、そういったサポートしてくれる方がいてこその私、その有り難さを強く感じた挑戦でしたし、これからも感謝を持って大事にしていこうと思いました!―レジェンド作品「あべ子といち子」を通して、今後はどんなメッセージを伝えていきたいですか? はじめに込めたのは〝LGBTのことを知って欲しい〞という思いでしたが、セクシャリティだけでなく様々な悩みを持ったマイノリティの方々を勇気づけられることができたらと考えています。絶対に実現したいのは学校での披露ですね! 思春期で悩んでいる子もたくさんいるだろうし、大人よりもこれからの社会を作っていく子どもたちに伝えたいです。〝ちゃんと生きていていいんだよ、ひとりじゃないんだよ〞って――。誇りをもって、アタイらしいレジェンドに。―avecooさん自身もやはりダンサーたちの表現ダンサーたちの表現リアルな心の動きリアルな心の動きすれ違う2人すれ違う2人真実の姿へ!真実の姿へ!ラストシーンラストシーン17

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