『SDM』 VOL.62
57/68

 審査方法を作る時は本当に苦労しました。今度の大会で3回目ですが、第1回目を始める時は非常に長い時間をかけて、文部科学省の方も絡めて審査方法を作りあげたのです。一口に〝指導技術〟と言っても色々な要素があり、もちろんダンス自体の技術も1つですが、人間性や生徒を惹きつける魅力であったりとか……そういったところも見ますね。―では、具体的にはコンクールではどのようなことが行なわれるのでしょうか? 参加者の方々に、事前に指導案を提出してもらい、それを元に模擬授業をしていただきます。その内容を審査員が見て、評価をしていきます。そういった意味では、プレゼン力というか、授業をしっかりと作って、それを構成する中に自分がちゃんと役割を持って進められる力も大事ですね!―事前に提出する指導案というのは、どういうものなのでしょうか? ただ闇雲に模擬授業をしてもらうのではなく、誰を相手に、どういう目的で、どれくらいの期間をかけ、その内の何回目の授業、という設定を自分で立てていただくものです。それがないと審査する方も、何を評価すればいいか分からないですからね。〝良いレッスン〟とは、 すぐれた計画から!―なるほど! まさに授業やレッスンを計画立てる力も審査されるわけですね! そうですね! 模擬授業だけですと、ある意味プレゼンの能力だけが大きく評価されてしまうことになりますので、しっかりとした計画力、立案力も審査しています。 また、計画内容は自由に設定して大丈夫なので、例えば小学生相手の授業の3回目とか、お年寄りが対象の健康目的のレッスン、部活で後輩に教える計画……など、実際にさまざまな設定でみなさん指導案を作成されていますね!―すごく実際の指導場面に即したシステムなんですね! 例えば発表会やナンバーを作る計画でもいいんです。最終的に1つの作品が踊れるようになって欲しい、その為に今日はこのパートを踊れるように、その為にはこのムーブが必要……など、ダンスを指導する上ではやはり計画を立てることが重要。実際の指導力と合わせて、両方が大切だと我々は考えていますので、「指導案は素晴らしい、でも模擬授業はダメ」とか「すごくいい模擬授業だけど、指導案と全く違う」という場合は減点対象になります。―他に何か大事な要素はありますか? 指導者自身の想いや、評価基準も大事ですね。生徒のどういうところを評価して、ゆくゆくは生徒にどうなって欲しいのか、それも自分の想いを持ってしっかりと作って欲しいです!これだけあって、入場無料!―では、今度の12月に行なわれるコンクールについてはどのような大会になりますか? はい、今回で3回目の開催となりますが、今までと違うのが審査員にダンスシーンの大御所の方々をお願いしているところです。前回までの審査員は大学教授や企業の重役などお堅い布陣でしたが、今回はそれに加え、ストリートダンスの世界で長く重鎮としてやってこられた方の視点も必要だと思い、審査員をお願いしました。―確かに、ダンスを土台としている以上、そういった方々の視点も必要ですよね! それとゲストパフォーマンスにもシーンの実力派の方々にお願いしています。特に教育現場の先生方は、〝一線で活躍するプロのダンス〟ってあまり観る機会がない。なら我々がそういう機会を作ってあげて、生で観て体感して欲しいという目的があるんです!―そんな豪華な審査員やゲストが気になりますが、教育関係者じゃなくても観に行っていいものでしょうか……? むしろ来て欲しいです! 「ゲストや審査員に興味があるだけで、ダンスの指導とか教育とかよく分からない」といった方にこそ観に来て欲しいです。まず今まで観たことのないコンクールだと思いますし、〝ダンス指導〟っていうと難しく聞こえるかもしれませんが、実際は楽しいですし、入場も無料、会場もアクセスがよいので構えずに気楽に観に来てください!JDAC 代表理事久岡 和也Prole:多くの行政、教育機関、企業と連携し、ダンスの価値を高めるため活動し、全国各地の教育委員会や教育センター主催の研修では講義を担当。また、全日本ダンス教育指導者コンクールでは決勝審査委員、『Legend Tokyo Chapter.6』では特別選定員を務めている。指導者たちが切磋琢磨し、〝教える〟モチベーションが持てる場を。昨年のコンクールの様子は?topic.03昨年8月に開催された『第2回全日本ダンス教育指導者 指導技術コンクール』。「まず他では見られない斬新な大会」と言われる、その内容を一部ご紹介しましょう!会場にはダンス指導者関係者のほか、多くの高校生たちも列を成していた!この大会の魅力の1つ(?)、来場者全員にドリンクやお菓子、無料券などの嬉しいお土産!昨年は6代目レジェンドENcounter ENgraversがゲストとしてパフォーマンスを披露!大会の決勝には8人が残り、それぞれ全く異なった指導方法と模擬授業を展開する!ゲストとしてよさこいチームや高校生ダンス部などがパフォーマンスを披露!結果発表・表彰式。その結果に参加者たちの一喜一憂がありつつも、どれも副賞が超豪華!55

元のページ  ../index.html#57

このブックを見る