Creativeって何だ!? ~尖った作品を生み出す極意に迫る~

振付師
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己が信ずる表現を純粋に探究し、限界のさらなる先に在るものとは…。

“誰もが楽しめる”という評価基準でコレオグラフ作品の可能性を拡げてきた“レジェンド”だが、来年夏の『Legend UNIVERSE 2020』より「最優秀芸術賞」が新設!それに伴い2~3月に開催される予選-提携イベントでは、“アートとして尖ったクリエイティブな作品”も選定対象となることに。“尖った感性”を持つコレオグラファー、Kensuke、AKIHITO、松田鼓童、Zoo-Zooの4名の言葉を通して、クリエイティブな作品作りのヒントに迫る!

Kensuke(BLUE FLAP QUARTET)
PLOFILE:ヒップホップのスタイルをベースに、ダンスバトルからチームショーケース、コレオグラフまで幅広い実績を持つ。多彩な経験を武器に、現在は有名アーティストの専属ダンサーやステージ演出などで活躍中。

あなたの“ダンス”はどこから出てくる?

AKIHITO : さっそく鼓童さん お聞きしたいんですが、作品づくりはどこから始めるんです か?

松田鼓童 : 昔は音楽からインス ピレーションを受けることが圧 倒的に多かったんですけど、ある時「音楽から半分以上もらっ てるかも」と気付いて …… 。なかなか表現が楽曲や歌詞を越えないというか、どっちが上とか 下とかじゃなくて、自分として曲以上の何かを乗せられないと意味がないなと!

Kensuke : それくらい歌の力って強いからね。

松田鼓童 : そうなんですよ。表 現したい何かがあってもそれを顕在化させる工夫を 100 個くらいしないと歌に負けて伝わらない ―― 。それに無理やり自分の中から出そうとしても安っぽいものしか出ないので、普段から内なる部分に蓄積された何か、周りの環境から受ける何かに気付くためにアンテナを張ってます。日々、哲学しながら、何か表現したいとなった時に作品にする感じです。

AKIHITO : 振付師である前に、表現者としてって感じですね。

松田鼓童 : 自分では振付師というより、“ダンス作家”になりたいんですよね!

Zoo-Zoo : 鼓童さんってちょっと掴みどころない感じで、振付や踊っているのを観ると、子どもが無邪気に踊るようなナチュラルな印象を受けるんですが、それって意識されているんですか?

松田鼓童 : カッコつけるのがすごく苦手で、逆にカッコいい人 が時折見せるダサい一面や人間 くさい部分が好きなので、趣向が出ちゃうんだと思います。「あなたみたいにかっこ悪く踊る人みたことない」って言われたことがあって、すんごい複雑な気分になったことがありますけど (笑)。

Kensuke : それはいい意味ですよ!

Zoo-Zoo : 無意識に魂が出ちゃってるんですね。私もバトルやフリーで踊ることもあっ て、そういうときはワーッと本能の部分が出てくるんですけど、ショーを作る場合はフィルターをかけて踊るので、真逆な感じがして興味深いです。

松田鼓童(nts)
PLOFILE:あふれるセンスで、ステージ作品のみならず、映像作品でも賞を獲る実績を出している気鋭の振付師。ダンスクリエイター集団「nts」を発足し、積極的な創作活動を通して、新たなる価値観の創出に挑んでいる。

こだわりを極め、 表現としての限界へ!

松田鼓童 : スイッチを入れて別人に変わるみたいなのが、僕にはできないので憧れます。 Zoo-Zoo さんは、どんな狙いで作品づくりするんですか?

Zoo-Zoo : ダンスってアクティ ブな動きが注目されやすいんですが、動かない美学というか立ってるだけでも美しいというのを最大限にアピールしたくて … 。これ以上ジッとしていられないって限界があって、それを越えていくとドーパミンが出てきて面白くなっちゃうんです!

松田鼓童 : その感覚わかります。臨界点みたいなところを越えると面白くなるんですよね!

Zoo-Zoo : 一度見たら脳裏に焼き付いて次から期待している自分がいて、1 人で笑っちゃうみたいなのが好きなんですよね。ただ自己満足にはならず、狙ってそうしているのをハッキ リさせるため、しっかり踊る部分も考えて …… 。いかに印象付けるマスターベーションができるかというチャレンジですね。

Kensuke :『 Legend Tokyo 』 だと2014年くらいから情報量が多い作品が増えてきたイメージなんですが、その中でも松田鼓童作品はもの凄い情報量があって印象的でした。

松田鼓童 : あれくらいだったらスッキリ見れるかなと、当初より半分くらいに削ったんですけどね(笑)。ダンサーのみんなをしっかり見せたくて偶像劇みたいにするとやっぱり5分じゃ足りなくて …… 。

AKIHITO : あれでも少なかったんですね!

松田鼓童 : 人って情報量の多いもの見れば見るほど、ある種の満足感を得られるんですけど、多すぎても作品としては観にくくなって。人間の処理できてかつ楽しめる限界値ってどこだって、当時は尖っていたのでそんなギリギリを攻めてました。そもそも1回で伝わるような作品にはしようと思ってなくて、観るたびに新しい発見があって、何度観ても面白い、時代が変わっても面白いのが作品としては理想です。

Zoo-Zoo(jaywalker)
PLOFILE:キャッチーながら予測不能な展開で、観る者の脳裏に強烈に印象を残す作品を生み出す奇才コレオグラファー。アンダーグラウンド出身ながら、彼女しか持ち得ないセンスを武器に、オーバーグラウンドでも活躍中。

既存概念を壊す クリエイティブとは。

Zoo-Zoo : AKIHITOさんは、頭の中もゴリゴリのヒップホッ パーだと思ってたんですけど、なんか独創的ですよね!

AKIHITO : Zoo-Zoo さんに言われると思いませんでしたが、それは『 Legend Tokyo 』で変えられたんですよ。最初は「俺のHIPHOP で」みたいな勢いだったんですけど、挑戦してみたら「あれ、全然刺さらないぞ (汗)」って。その時のヒップホッ プ観を作品づくりに繋げることができなくて、次第に「既存の概念に囚われないこと」が自分なりのヒップホップじゃないかと! できるだけ何でも柔らかく捉えたいとは考えています。

Zoo-Zoo : 考え方がスポンジのようで、なんでも吸収できるんですね。

AKIHITO : 良く言いすぎです! 作品づくりについては本当に才能がないと自分では思っているんですけど、ひとつ大切にしてきた部分で言うと、とにかく自分の好きなことを掘って掘って掘りまくってきたのには自信がありますね。ヒップホップの枠を外されてどうしようとなった時に、とことん追求する力があったことで「オノマトペ」にたどり着けました。

Kensuke : 『 Legend Tokyo 』で枠を外されたというのは共感できますね! どうやったら面白く、お客さんの想像を超えて印象に残るものにできるだろうと試行錯誤する―― 。その挑戦をスタートに、次第に枠が外れて変わっていって、自分ならではの表現が見つかるんだと思います。それまでの武器を捨てるのも勇気が要るし、新しい武器を探して物にするのも凄く大変ですけどね!

AKIHITO : とにかく「勝ちたい」という気持ちが強かったんですけど、どうしたら勝てるか研究したときに、具体的な方法論ではなくて、とにかくジャンル関係なく〝突き刺した人が勝つ〞んだとわかったんです。失敗したらもう次はないくらいの覚悟だったんですが、「オノマトペ」ならすべての概念をぶっ壊して、突き刺せると僕と相方の泰智は確信を持っていましたね。

AKIHITO(ENcounter ENgravers)
PLOFILE:『Legend Tokyo Chapter.6』優勝 ENcounter ENgravers の代表。生粋のヒップホッパーでありながら、柔軟な発想で大型商業ミュージカルの振付もこなす、日本を代表するコレオグラファー。

挑戦なくして、進化はない!

松田鼓童 : まさにENcounter ENgraversはヒップホップを進化させた感じがする。

AKIHITO : 歴代のレジェンドはもちろん、様々なコレグラ ファーさんの作られる作品を目の当たりにして、「こんなにも表現できるんだ!」とかなり刺激を受けました。挑戦する中で皆さんに突き刺された経験が活きてるので、感謝ですね。

Zoo-Zoo : やっぱダンスって自由な表現なので「こんな作品なら勝てる」なんてものは幻です。ヤバイ奴はどんなでもヤバイので、大切なのは自分自身の感性に自信を持つこと。ウケるように考えるのもひとつのエンターテインメントなんですけど、結局、表現者である以上、自分の才能を信じてやりたいことを貫くべきですし、自分もそうあり続けたいですね。

Kensuke : まず好きなダンスを突き詰めること! 同時に世界を広げて、そこで得たものを落とし込んでいけば、新しいものは作れるし、どんな自分にでもなれるはずです。例えば舞台上だけでも照明、音響、衣装、道具、舞台セット …… 、もっと掘ればその材質や図面まで作品づくりに影響させることもできるし、他のアートだっていい。

松田鼓童 : 方法は2つしかなくて―― 、まずひたすら好きなこと、やりたいことややらなければならないことに限界までにじり寄り続ける。そして、変に尖ろうと演出しなくてもいいので、それをどう社会にリンクできるか。

Zoo-Zoo : 自分の中で磨きあげたものをどう外につなげるか …… 、同感です。

AKIHITO : とにかくチャレンジして欲しいですね。今はわからなくても、何でもいい、絶対その先に何か見えてくるので!

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