『SDM』 VOL.26
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ファースト・レジェンド〝創世の伝説〟その完全なる世界観。「誰もが楽しめるエンターテインメントを」、 15年に及ぶ活動の集大成が魅せる、圧倒的世界観。 観る者が歓声をあげるのも忘れ、息を呑んでじっと見入ってしまう……。長谷川達也が創りあげた作品「花ト囮」には、観る者を確実に作品の世界に引き込む力があった。それは、彼が主宰するダンスカンパニー〝DAZZLE〞の15年に及ぶ活動の集大成の成せるワザと言えるだろう。 常に「ダンスを知らない一般の人でも楽しめる」ということをコンセプトに掲げてきた彼らは過去5回に渡り、単独公演を開催。「花ト囮」はその第3回公演の内容をモチーフに、彼らが今まで培ってきた技術がふんだんに盛り込まれていた。傘や布などの小道具、オリジナリティあふれるダンスに緻密なルーティン……。作品を構成する1つ1つの要素は、彼らが15年かけて磨きあげてきた賜物なのだ。 作品の内容は、「人を妬む狐の群れ。狐は男を化かし、花へと成り代わる」というもの。圧倒的な演出と構成によって彩られたそのミステリアスな世界観は、オリジナルの楽曲によってさらに加速していく。作品の山場、大きくひるがえされた布が一瞬で舞台奥へと引き込まれる演出には、普通の歓声とは違った、観客が「思わずもれてしまった」とでも言うべき、感嘆の声にも似た歓声が上がっていた。 まさに〝ファースト・レジェンド〞の名にふさわしい作品を披露した長谷川達也。これからも日本を代表する振付師として、大きな活躍を見せてくれるに違いない。『Legend Tokyo』において、みごと〝1st Legend〟に輝いた長谷川達也。なぜその作品は多くの来場者、そして審査員の心を掴んだのか? その独創性、計算し尽くされた世界観に迫る!Legend TokyoWINNER’S PIECEREVIEW18取材・文=長濱佳孝text by Yoshitaka Nagahama写真=井上治photography by Osamu Inoue

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