『SDM』 VOL.32
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無音の中で響くのは、踊る人間の息づかい。身体性の強いパフォーマンスで会場を魅了。大人数を生かす多様な構成と、華やかなパフォーマンスで公演の口火を切った!男女の掛けあいが美しいJAZZナンバー。切なくも暖かい、エモーショナルな作品。少人数であることを感じさせない、スピード感のあるクールなパフォーマンスを見せた。幻想的な音の中、白い衣装に身を包み、まるで祈るように舞い踊るダンサーたち。男性ならではの力強さが光り、畳み掛けるアクロバットがくりだす疾走感に沸いた。「MKMDC」における「おりちか7」とは主催者に聞く〝振付家集団〟が魅せる、 陰と陽の美しきステージ―普段の活動と「おりちか」の違う点は?和也‥「MKMDC」のメンバーは、普段はそれぞれの現場で活動しています。みんなが定期的に集まる公演は「おりちか」くらいなので、この機会をとても大切にしています。楽しんでくれている子がたくさんいるので、これからも一緒になって楽しみたいです。松尾‥本公演自体は別にあるので、「おりちか」に関しては、これからはより「おりちか」〝らしさ〞に特化して続けていきたいですね。―それでは、「おりちか」らしさとは?松尾‥サークル公演とも、スタジオ発表会とも違う存在。もっと自由で純粋な、カンパニーならではこその雰囲気やスタンスなんですよ。「来るなら来い。やりたいならやれ。」って感じで、人を集めようとか、ビジネスにしようとかは一切考えていません。成り行きでここまできて、その時やりたいものを自然にやっています(笑)。自由に形を変えていけるのも「おりちか」の特徴かもしれません。時間という流れの中、〝いま、ここにいる〟自分の存在と向き合う。そんな公演全体を〝貫く〟かのような超大作。唯一無二の存在感を放ちつづける、松尾耕率いるダンスカンパニー「MKMDC」。彼らの定期公演「おりちか」も、今回で7回目。その公演内容からは、これまでの活動の中で築きあげてきた、「MKMDC」としてのアイデンティティが感じられた。流れ行く時間の中で生きる自分の存在と、それに連なる様々な出会いを紐といていくような、奥深いステージングに、会場は息をのみ引き込まれていった。 一方で、踊ることを純粋に楽しむダンサーたちの、どこまでも素直で明るいパフォーマンスが展開されるのも、「おりちか」の特徴。いわば光と影。全くテンションの異なる作品群が繰り広げられることで、舞台上は独特のエネルギーに包まれていく。力強さと繊細さ、そしてユーモアに満ちた「MKMDC」ならではのエンターテイメント・ステージを観せた。ダンスカンパニー「MKMDC」、第7回公演の模様をレポート!取材・文=萱沼萌text by Moe Kayanuma写真=和知明photography by Akira Wachi2012年7月3日(火)~6日(金)国立オリンピック記念青少年総合センター・小ホールDance CompanyMKMDCおりちか7『振り子 ~私は今、ここに立っている~』振付師:松尾耕『OPENING』振付師:栖木和也『ロマンはどこだ?』振付師:miotchery『沁臆―シンオク―』振付師:森澤碧音『core』振付師:丸本陽子『最後のキス』振付師:巽徳子『MKMEN'S 2012』振付師:佐藤直樹MKMDC主宰。マルチな振付家として、年間100を超える演劇公演やコンサート、企業CMの振付けなどで活躍。また、ダンサー、振付師の派遣なども行なっている。松尾耕 | Profile |先日開催された「Legend Tokyo Chapter.2」にて、みごと優勝した「梅棒」のメンバー。本公演ではダンサー、そして振付師としても活躍している。楢木和也(梅棒) | Profile |左右http://www.mkmdc.net詳しくはHPにて!第7回公演Dance Company MKMDC第1回公演 『タイトル未定』2013年1/19(土)~22(火)@ラゾーナ川崎プラザソル来春には待望の本公演が開催!31

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