『SDM』 VOL.32

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ダンス人気の裏側に潜む教える側の質の問題 ここ数年のダンス人口の急激な増加もあって、さまざまなフィットネスクラブから「ダンスのワークショップを開催したい」「インストラクターを派遣してほしい」といったオファーが僕のもとにも多く寄せられています。ダンスを楽しむ人たちが増えて、それにともない講師やインストラクターの活躍の場が広がっている…そんな現状を僕はとてもうれしく思っていたんだけど、反面〝教える側の質〟を問う声があがってくることが多くなっているそうで。主に、ダンススタジオで教えていた延長でフィットネスクラブに来た人たちの接客マナーやダンススキルに関することですね。フィットネスクラブ用のプログラムにきちんと対応できる人材が少ないという現状の中、「ならば僕たちがしっかりしたインストラクターを育てていこう」というところから、〝en4th〟というダンスウェアブランドの開発をさせてもらっているミズノさんと一緒に今回のプログラムをスタートさせることになったんです。 そもそもダンススタジオとフィットネスクラブでは、教える側と教わる側の立ち位置が大きく異なります。「先生×生徒」から「インストラクター×お客さま」へ。ダンススタジオでは生徒が先生についていくという立場ですが、フィットネスクラブではお客さまがインストラクターにサービスを提供してもらう、というスタンス。目的も、ダンススキルをあげたいというよりは楽しく汗をかきたいという方たちが多いですから、いままでダンススタジオで教えていた先生にとっては大きな意識改革が必要かも しれません。「ミズノ ダンスインストラクター認定プログラム」では、いまフィットネスクラブでの需要が高いジャンル「ヒップホップ」「ジャズ」「ハウス」「オールドスクール(ブレイクダンス)」「チア」この5種類のクラスを用意し、基本的なダンススキルや教え方をレクチャーするほかに、各ダンスの歴史的背景などを学ぶ座学も盛り込んでいます。その中には接客マナーも入ってきて、たとえばあいさつをしっかりする、お客さまの名前を覚える、30人のお客 さまがいたらレッスン中ひとり1回は声をかけていくなど、サービス業としての基本ですね。こういったことも学んでいきます。人に教えることの意味をもっと重くとらえて 僕が思うのは、優秀なインストラクターというのは、必ずしも優れたパフォーマーであるとは限らないということ。「名選手、名監督にあらず」の言葉どおり、自分が踊ることと人に教えることはまったく違うので。ダンス スキル以外のところで、教え方、それにキャラクターや人柄の良さなどが加わって、人を惹きつける〝カリスマ〟といわれるようなインストラクターが生まれるんじゃないかなと思っています。ハッキリと良い・悪いを伝えられる、語彙が豊富で、同じステップにしても何通りの教え方や伝え方ができるなど、教え方が上手い人はこういうことを知っています。これまでは自分でつかんでいくしかなかった「教える」スキルも、このプログラムを通して体得してもらえればと思いますね。 「ミズノの認定ライセンスを持っている人は他とは違う」という認識がついてくれば、「教える」ことに対する意識・レベルが業界全体として上がってくるはず。これからインストラクターを目指す人たちには、「人に教える」ということの意味を重くとらえてほしいです。深いスキル、幅広い見識を持ったダンスインストラクターを育てていくというこの新しい試みは日本のフィットネス界、ダンス界の未来にとっても大きな意味を持つこと。僕は、そう確信しています。日本のダンス界の未来のために 「教える」ことに対する意識・レベルをあげていきたい今秋スタートする『ミズノ ダンスインストラクター認定プログラム』。フィットネスクラブのダンスプログラムに対応できる人材を育成し、ダンスインストラクターとしての認定ライセンスを与えるという日本で初めての試みだ。なぜいま、このような取り組みが始まることになったのか――監修を担うSAM氏が語る。取材・文:江川知里単身NYへダンス留学しクラシックバレエやジャズダンスの基礎を学ぶ。一方でストリート・ダンス/ハウス・ダンスなどを修得。あらゆるジャンルのダンスをバックボーンに持つ。TRFコンサートのステージング構成/コリオグラフの他、スマップ、浜崎あゆみ、その他多数のアーティストの振付、コンサートプロデュースを行いダンスクリエーターとして幅広く活動中。近年、次世代ダンサー育成、リサーチの為、多くのダンサーオーディションを手がけ、自ら主宰するダンススタジオ「SOUL AND MOTION」でレッスンも行っている。ProfileSAMSPECIALINTERVIEWSAMAD/広告企画(「LIVE」36号(株式会社クラブビジネスジャパン)より)