『SDM』 VOL.55
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―顔安さんのお仕事はどのようなものなのでしょうか? 現在の日本には、国籍は中国だけど日本で勉強や仕事をしている〝華僑(かきょう)〞。そして中国人だけど日本国籍を取得した〝華人(かじん)〞、それが合わせて100万人ほどいます。その中でも、職業によっては医師会、教授会、企業家の会などさまざまな団体があります。私はそれらをすべて総括した総連合団体の会長をしています。 そして、かつて私自身がダンサーだったこともあり、その立場を活かして政府の関わる大きなものから民間の小さなものまで、舞台や映画、テレビドラマ、イベントなど、さまざまな日中の文化交流のお仕事を手がけています!―もともとダンスをやられていたのですね! 私は中国の地方農村の出身ということもあり、早く仕事をしたくて中学校を卒業してから軍の歌舞団に入りました。ジャンルは主にモダンダンスに分類されるもので、中国内のさまざまなコンクールで優勝することができましたが、毎日の練習は厳しかったですね。 国中の軍隊やお偉いさんが周りにズラッと並んでいる中での練習なので、毎日が〝本番〞のような緊張感がありました。―では、来日されてから日本のダンスのことはどんな印象を持ちましたか? すごく自由で個性的だと思いましたよ! それと、日本のみなさんは身体能力の高い低いに関係無く、ダンスを心から好きで踊っていると感心しました。中国では身体的な能力の条件だけでダンサーが選ばれて、「あまり好きじゃないけど仕事だから踊っている」という人も多いです。色々な決まりがあってテーマも制限されていたので、日本のダンサーが自分が好きで表現したいテーマを自由に踊ることができるのは本当に素晴らしいと思いましたよ!―ちなみに顔安さんが優勝されていた中国のコンクールってどのような大会なのですか?好きな表現を自由に踊る!それは素晴らしいことだ! モダンダンスのコンクールが主でした。今でもそうですが、中国では少人数や個人のテクニックが重視されていて、結局「誰が一番スキルがあるか!?」という評価の仕方なんです。以前、『Legend Tokyo』を観に行ったこともあるんですが、日本では大人数のチームワークや独自の舞台表現が評価されていて、すごく感心しましたね。―そうなんですか! その時のご感想は!? 初めて格闘技の「K-1」を見た時の感動を思い出しました! 個性的な演出に照明や音響もそうですが、女性のお客さんが多かったのが私からしたら珍しかったですし、会場の空気が一体となって、まるでサッカーの試合のように盛りあがっていて素晴らしかったです!―今年は審査員としてご来場いただくことになりますが、顔安さんが作品を観るポイントはどこでしょう? 私も長年、ダンスの大会に挑んできましたが、「ターンしたら何点、ジャンプしたら何点」という技術的な審査はしたくない。この大会は「面白いと思ったもの、心を動かされた作品を評価する」という審査方法ですよね? そこがとても素晴らしいと思いました! 私も自分の直感を信じて、5分という時間の中で一瞬でもいい、作品として感動させてくれるものを選びたいですね! ちょうど9月に私が手がける大きな文化交流イベントがあるので、気に入った作品には出て貰えるようお願いしたいと思っています!―ゆくゆくは中国でも『Legend Tokyo』のような大会を開いていきたいですね! 本当にそうですね! この大会の目的や意義をお聞きして、私自身、すごく勉強になりました!  中国にこのようなスタイルの大会はないので注目を集めると思いますし、私も中国の色々な分野や政府にも顔がききますので、何か一緒に協力して、日中の文化交流の場を企画したいですね!技術的な評価ではなく、心を動かす評価!およそ200万人以上の外国人が暮らしている現在の日本。中でも最も多くを占めているのが中国人であり、そんな在日中国人団体を一手に取りまとめている連合会の会長が顔安氏だ。かつては中国を代表する世界的ダンサーと活躍しながらも、その事業才覚を活かし、現在は日中の文化交流の最重要人物として活躍する重鎮。その視点が見つめる日本のダンスとは!?中国・四川省出身。舞踏家、振付家として北京国立総政歌舞団に所属し数多くのコンクールで優勝。1988年に来日し、東京芸術大学に通った後、三菱倉庫株式会社に入社。その後、同社中国広州主席代表に就任、2008年にはK&Q株式会社を設立し、代表取締役に就任。現在は全日本華僑華人連合会の会長として、自身の経験を活かして日中をつなぐさまざまな文化交流イベントを手がけている。全日本華僑華人連合会 会長中国海外交流協会 理事中国全国政協海外列席 代表K&Q株式会社 代表取締役社長顔 安[中国]Yan An日中文化交流事業を統括する首領中国内の数々のコンクールで優勝し、振付家、舞踏家としても知られる。写真は顔安氏による振付作品「黄河」。毎年、六本木ヒルズアリーナで盛大に開催されている日中文化交流イベント「中国節」の企画・主催なども手がけている。日中をつなぐ数多くの組織で重役をつとめる顔安氏はさまざまな文化的イベントで活躍。テープカットや主賓挨拶も数多く行なう。日本らしく、自由な表現と団結力を活かして心を動かす作品を!からのアドバイス!ド  ンさらなる進化のためのアドバイス!華僑華人連合の首領!日中文化交流を一手に担う、ドン文化交流イベントのプロデュース国際的VIPとして活躍その他の肩書きコレオグラファーとしての活動● 日本中華総商会 副会長(前会長)● 中華文化促進会 理事● 北京在日本同郷会 会長● 北京市海外交流会 常務理事● 中国青島誠旺環保科技有限公司 董事● 中華海外聯誼会 理事● 中国僑連海外委員● 四川海外交流協会 副会長● 日本熊猫保護協会 副会長 …… ほかアジアに広げるための視点〝個のスキル〞が重視される中国にはない、圧倒的な団結力と個性的な表現力の作品を!日本のストリートダンス・コンテンツ、 39

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