『SDM』 VOL.57
46/60

現代によみがえる演劇界の問題作、大型公演をRuuが振付け!KAAT神奈川芸術劇場プロデュースマハゴニー市の興亡2016.9.6(Tue)~22(Thu)KAAT神奈川芸術劇場写真提供=KAAT神奈川芸術劇場photo-cooperate by KAAT取材・文=長濱佳孝text by Yoshitaka NagahamaSTAGEREPORT1930年、ドイツの奇才劇作家ブレヒトによって世に送り出され、以後、その内容からナチスにより上演を禁止されたというオペラ劇『マハゴニー市の興亡』。その希代の問題作が、山本耕史、マルシア、中尾ミエ、上條恒彦、古谷一行といったベテラン俳優陣を迎え、演出家白井晃の手により音楽劇として現代の日本によみがえった!この大型舞台劇のダンスシーン振付けに抜擢されたのがRuu。『Legend Tokyo Chapter.5』において審査員を務めた白井氏にその才能を見出され、劇中の要所で繰り広げられる娼婦役たちによるダンスパートの振付けを担当し、Ruu自身も娼婦役として出演を果たしたのだ。また、劇中の音楽はジャズピアニストのスガダイローらによる生演奏。観客の期待や予想を裏切るような旋律と和音で、クルト・ヴァイルの原曲がより現代的に、鮮やかに劇場空間を自由気ままに跳ね回る。おそらく即興演奏も多いと思われるその自由な音楽に、時に寄り添い、時に真っ向から対面するかのように展開される娼婦たちのダンス。現代的ながらもベーシックなテクニックの上に成り立つ振付けや、華やかに整えられた構成はRuuならではの美意識の成せるワザと言えるだろう。俳優陣による重厚な演技と歌唱力、そして現代的にアレンジされた楽曲と振付けで、約80年前の作品ながら新たな〝現代版〟『マハゴニー市の興亡』として、来場者の心に鮮烈な印象を植え付けていた。主人公・ジムを演じるのは山本耕史。欲望のままに生きる、破滅的で酔狂なキャラクターだ。アラスカで木こりをしていた、ジムとその友人たち。快楽を求めマハゴニーにやってきた。ジムと熱い愛情を交わす娼婦はマルシアが熱演。かなり情熱的なラブシーンも!物語のメインとなるバーは、酒と女(娼婦)と金が集まる、マハゴニーを象徴する欲望の場所だ。要所で繰り広げられる、娼婦たちのダンスはRuu振付け! シーンを鮮やかに彩る!物語のラストでは、常軌を逸した拝金主義に対する市民のデモが発生、街は終焉を迎える。今回の振付けの感想は!?Ruu(Fabulous Sisters)―今回の振付けではどういったことを意識しました?今回、ダンサーは娼婦役だったので、演出の白井さんが求めている〝女性らしさ〟、セクシーさや色気を特に意識しました。私もふだんあまりそういった振付けをメインにしているタイプではないので、私の中でも新鮮な感覚はありました!―特に苦労した部分はありますか? 振付と出演を同時にこなすのはやはり大変でしたね。あと苦労というか、音楽の生演奏が日によって違うので、キメ音に合わせてフリを作ったのに今日は音が違う、ということはありました(笑)。ただ、そういう即興にも緊張感を持って対応する姿勢を持てるようになりましたよ!―振付として、演出の白井さんとのお仕事はいかがでしたか? 白井さんは本番期間中でも毎日細かくダメ出しを下さって、最後の最後まで舞台を良くしようというこだわりを感じました。私もそれに負けないように日々ブラッシュアップして、2週間ほどのロングランでしたが毎日緊張感を持って舞台に臨むことができました!毎日、緊張感を持って臨めたロングラン公演!44

元のページ  ../index.html#46

このブックを見る