振付師の才能へフォーカスすることにより日本にダンスナンバー文化の隆盛を巻きおこしてきた大会『Legend Tokyo』が新展開を始動。
それはなんと〝日本のアニメをオマージュした作品のみで戦う〟世界初のダンスエンタメ大会!
その大会アンバサダーにREAL AKIBA BOYZ(以下略:RAB)が、そしてアドバイザーに同メンバーであるけいたん&涼宮あつきが就任!
アニメ&ダンス文化のパイオニアとして知られる彼らだが、とくに〝けいたん〟は『Legend Tokyo』シリーズの企画主宰・工藤ミツアキとも意外な関係が……!?
日本のダンスに新たなる革命を起こす!――新大会始動に向けてキーパーソンとなる2 人の特別対談が実現!
榊原敬太 aka けいたん
Profile:SNS フォロワー70 万人超を持つREAL AKIBA BOYZ のプロデューサー兼プレイヤーであり、インターネットベンチャー企業〝株式会社アブストリームクリエイション〟を2013 年設立。2020 年には、ホリプロインターナショナル、アノマリーなど外部資本も参画するISARIBI 株式会社を設立。ISARIBIグループの会長を兼任。ビジネスパーソンとプレイヤー、両側面で活躍する。
工藤ミツアキ
Profile:ストリートダンスを文化として根付かせることをコンセプトに株式会社ジャスト・ビーを2006 年に設立。2007 年にフリーマガジン「SDM」を創刊し、2011 年『Legend Tokyo』の開催を皮切りに『FINAL LEGEND』、『大人のダンスエンタメ・ショウ』などを考案。イベント事業の制作・アートディレクションなどすべてを総括する製作総指揮として活躍している。
「#アニコレ レジェンド」の始まり
コロナ禍前に思い描いていたアニメ× コレオグラフの大会
――前編では、けいたんさんと工藤さんとのご関係、そして『Legend Tokyo』の始動までをお聞きしましたが、そこから新たに『# アニコレ レジェンド(以下略:# アニコレ)』を始めようと思った経緯をお聞かせください。
工藤:まず最初のきっかけとして、2016 年『Legend Tokyo』で大会初の〝パーフェクト得票優勝〟をENcounter ENgravers が成しとげた。本大会は〝多様な視点で評価する〟ことを特徴としている。だから大会設計的に〝みんな1 位が一緒〟はありえないと思ってたので衝撃でした。
その作品が「オノマトペ」というマンガならではの擬音語をテーマにした作品だったんですよ。
そして翌2017 年、優勝した彼らが芸術監督となって「2.5 次元コレオグラフィ」という振付師をすべてマンガのキャラに見立てた公演を行なったけど、チケットの売れ行きがそれまでと段違いに変わって、すごくお客さんの評判も良かった。
「アニメやマンガをモチーフとすれば、より多くの人たちにダンスに興味をもってもらえる」ってその時に気付いたんです!
けいたん:確か2017 年ぐらいに工藤さんから「アニメをテーマにした大会をやりたいんだ」って相談があって、飲みに行きましたよね!?
工藤:周りを見渡してみると〝2.5次元ミュージカル〟がすごく増えていて、どんどん海外でも上演されるようになっていった。バレエも宝塚も、そして歌舞伎のような伝統芸能まで、どの業界も日本のアニメの可能性を意識し始めていた。
もう1 年でも早く実現しないとストリートダンス界だけ置いてきぼりになる……と感じてきていました。
とはいえ、いきなり『Legend Tokyo』を方向転換することはできず、2020 年からコロナ禍になってしまって……、まずは大会自体を復活させるのが優先になってしまった。
昨年その復活ができて7 年がかり。ようやく実現できる時代がきて、改めてけいたんに「7 年前の飲み話の続きをしよう!」ってなったんだよね。
けいたん:でもある意味、コロナ禍のおかげで、よりダンスにフォーカスが当たるようにはなりましたね。Tiktok などSNSでの動画コンテンツや配信自体も爆発的に増えて、ダンスが使われるCM 本数もエグいぐらい増えましたから!
新しい才能たちから気付かされた必要性
――やはり工藤さんは〝アニメとダンス〟と言えばまずけいたんさんのことが浮かんだんですね!
工藤:『Legend Tokyo』は先駆者の方々から影響を受けて生みだされた大会ですが、この「# アニコレ」は後輩たちの活躍をみて「あ、時代はこっちなんだ!」って気付かされて生まれた大会。そして、けいたんはまさにその1 人!
――なるほど。では、ほかにも誰か「# アニコレ」誕生のきっかけになった方はいますか?
工藤:次に大きなきっかけとなったのはakaneですね。
けいたん:akane さんって「バブリーダンス」の !? 『 Legend Tokyo』に出てたんですね。
――akane さんは2012 年にダンサーとして、2014 年に高校ダンス部ゲストとして、振付師としては2015 年、2016 年、そして優勝した2019 年に参加されてますね。
工藤:昔から独特で奇抜な作品を創る子で構成力も高く、僕自身は前々から「すごく才能ある」って思って応援していたんだけど、奇抜さゆえに万人受けはせず、かつては本人も悩んでいた。それが「バブリーダンス」で一躍有名人になった。
そこで作品を観た僕の第一感想が「いや、昔から彼女はこういう作品を作っていた」。ヒットの背景にはいろいろな要因がありましたが……、僕が感じた最大のトリガーとなったのは〝作品の表現テーマ〟なんですよね。
〝バブル時代〟という、ダンスをよく知らない人たちでもイメージしやすいキャッチーなものにしたことが、世間が彼女の才能と作品の面白さに気付くことにつながった。
そこで、今まで大会は振付師の自由テーマによる作品で戦っていたけど、〝日本人が誰でもイメージしやすい作品テーマの戦い〟に限定する大会をつくるべきだ。そしたらより多くの人に興味をもってもらえる!振付師の才能が広がる!って気付いたんですよね。
けいたん:確かにダンスシーンって職人気質だから、作品が哲学的になりがちですよね。なんというか、〝明朝体で書いてある専門書〟みたいな感じで。
だからこそ、バブリーダンスとか僕らがやってるアニソンダンスは、より多く人に興味をもって観ていただけるんですよね!
世界が熱狂するアニメ× ダンスの可能性
鳥山明はシェイクスピアと並ぶほどすごい!
――ちなみに工藤さんはもともとアニメは好きだったんですか?
工藤:実は若い頃はミュージカルをつくる人になりたいと思っていました。だから、西洋やブロードウェイをすごく崇拝していて、NY の大学に通おうとしていたんですよ。
その準備でアメリカから一時帰国したタイミングで友だちから「新世紀エヴァンゲリオン」を見せられてすごい衝撃を受けたんです!
「こんな繊細なクリエイティブはアメリカには創れない!」……っていうか、アメリカって日本よりはるかにエンタメ先進国、だけど大雑把でもあるんですよ。
なんか急にアメリカ熱が冷めて……、日本人として生まれた以上、この〝日本ならではの繊細なクリエイティブ力〟から新しいパフォーミング・アーツ文化をつくることに人生を捧げよう……って考えだすようになりました。
――確かにエヴァは〝以前・以後〟と言われるぐらいにシーン内外に影響を及ぼしましたね。
工藤:『Legend Tokyo』の根幹でもある〝日本独自のクリエイティブ力を広める〟というコンセプトは、まさにエヴァの影響。ただ、改めて振り返ってみると自分の人生の中で、そう想うようになったトリガーがいくつかあったんです。
けいたん:どんなことがあったんですか?
工藤:ジャストビーを始める前はバックパッカーとしていろんな国を旅してたんだけど、例えば東南アジアの田舎で子供たちが日本人の僕を見つけると〝かめはめ波〟の真似をしてくるんですよね。
1 番衝撃だったのでは、アイット・ベン・ハドゥというサハラ砂漠の集落に行った時、子供が描いた絵をみせてくれて、それがクリリンだった。思わず「クリリンのことか──っ!!!!」って叫んじゃいました(笑)。
――まさに海外の隅々まで「ドラゴンボール」は子供たちに広まっていたんですね!
工藤:マジで鳥山明はシェイクスピアに並んで後世に残る人だって思いました! 日本のアニメって本当に世界的な創作文化って実感したし、だから『Legend Tokyo』でも、そのように〝日本のダンス作品を、アニメ・マンガ・ゲームみたいに世界に誇る文化にしていきたい〟ってずっと発信し続けていました。
日本のアニソンで踊るのが最先端でイケている!?
工藤:現に僕はエヴァンゲリオンをみて人生が変わったけど、周りをみわたしても「スラムダンク」でバスケを始めた人や、理工学界が本物のガンダムをつくろうとしたりとか、アニメやマンガって、まさに今この時代を生きる日本人の〝魂〟というか、価値観や人生そのものをつくっているって思うんだよね。
けいたん:いや、日本人だけじゃなくて、世界中の人たちに影響を与えていますよ。それこそ、ヨーロッパのサッカー選手は「キャプテン翼」でサッカー始めたっていう人も多いって聞くし。
――けいたんさんはよく海外にも呼ばれているようですが……、今の世界ではアニメとダンスってどんな感じなんですか?
けいたん:もう本当にすごいですよ!例えば去年、外務省の国際交流基金から依頼があって、「アニソン×ダンスを広めたい」ということで文化大使としてブラジルに行ってきたんですよ。サンパウロ市長とも会談させていただきました。
中国でもアニソンダンスバトルが生まれてるし、フランスの「ジャパン・エキスポ」には何回も呼ばれていますが、〝アニソンで踊る〟は世界中がやっている。
シンガポールも韓国もドイツも……、なんか海外のダンサーからすると「日本のアニソンで踊るのが最先端でイケてる」って感覚なんですよ!
工藤:やっぱりそうなんだ。結構、日本のダンスシーンだと「レジェンドがアニメをテーマにした大会をやります!」っていうと変に見られるんじゃないかって迷いがあったけど、ネットをみてると海外の人が日本のアニソン使ってコレオグラフ作品を創っている動画がすごくバズっていて……、「逆にこれ、日本の振付師が世界においていかれてるんじゃない?」っていう葛藤もあった。
けいたん:いや、実際にほんとにそうなんですよ!
工藤:ちなみに、その海外でやっているアニメ× ダンスって日本語の曲なんだよね?
けいたん:もちろんです! マーベルとかディズニーじゃない。日本のアニメの日本語の曲です! 今は海外の人ってみんなアニメで日本語覚えてるくらいですから。
YOASOBIや米津玄師のアニソンが世界のビルボードに輝いている現状をみてください。海外のダンサーは今やアニソンで踊るのは〝普通のこと〟になってきているんです!
世界の誰より日本人こそが真剣に取り組むべき!
――ならば日本の振付師がそれを作品表現することが主流ではない現状はもったいないですよね!?
けいたん:そうなんですよ! だって洋楽を使って、僕たちが「面白い作品だよ」っていっても、結局、世界的には西洋の振付師に仕事が回るだけですから!
工藤:逆に西洋の振付師が日本のアニメの振付をつくっても、どうしても違和感がでると思う。
本当にそれこそが、アニメ・マンガ文化で育ってきた日本人にしかできない、日本発のダンス表現として、真剣に取り組むべきことだったのかな……と。
――ちなみに、広い意味での日本語楽曲としてJ-POP で振付作品を創る、ではダメなんでしょうか?
けいたん:ダメってことはないですけど、まだまだJ-POP はアニメと同じくらい世界的な文化にはなっていないですよね。
工藤:それに「鬼滅の刃」×LiSA、新海誠作品×RADWIMPS のように、今やJ-POP 自体も音楽アーティストを広げるためにアニメとのコラボは新フェーズに入っていますよね。
けど未だに日本のコレオグラファーはその流れに入っていない。世界最高峰の創作力をもちながら。
けいたん:やっぱり日本のストリートダンスだけ、日本のアニメに対して、どこか食わず嫌いしてる感じがあるんですよね。だからこそ、日本オリジナルで、日本のNo.1=世界No.1 をつくらないと、マジで日本のダンスシーンは変わらない!
工藤:本当にそれ! もとは世界のダンスシーンが東京を目指すような文化を作りたかったから〝Legend Tokyo〟って大会名にしました。だけど、そこまではいかなかった。
結局今のままではLA や海外の都市でもありえるものなんですよね。
だけどこの「# アニコレ」こそが真の〝Legend Tokyo〟になり得るものだと思っている。アニメ・マンガ文化において世界の誰もが認める頂点、それがTokyoなんだから!
西洋のダンスではなく、〝今の日本〟を担う振付師を!
――そうなったら日本のダンスシーンもまた大きく盛りあがりますね!
工藤:そうですね。既存の『Legend Tokyo』でも振付師の仕事のつながりを生みだしてきましたが、「# アニコレ」の方が、より具体的に才能が見えやすくなる。より仕事につながる大会になると確信しています!
けいたん:多分、今のレジェンドの規模感だと本当に仕事が広がりますよ!
優勝したり何か受賞して「アニソンや2.5 次元舞台の振付が決まった!」って全然あると思うし、この大会で生まれた才能を欲しがる企業はめっちゃ多いと思います!
工藤:けいたんにそう言ってもらえるとすごく現実味があるね!
けいたん:それに、もともとレジェンドに興味があった人以外でも、僕ら界隈というか、すでにアニソンで踊っているダンサーたちにも挑んで欲しいし見て欲しい。
そうやっていろんな人が一緒になれる〝るつぼ〟になったら嬉しいですよね!
――でも、けいたんさんは既にアニソンのダンスイベントをやっているので、ある意味「# アニコレ」は競合にならないですか……?
けいたん:いや、僕らもアニソンダンスバトルの大会を全国でやって広げていますが、ここではRAB じゃできなかったことができるなって思ってますし、そこは徹底的にサポートしていきたい。
やはり西洋のダンスではなく、今の日本のカルチャーを担う振付師というものを生みだしたいし、生まれて欲しいから!
日本が世界を目指すでなく世界が日本を目指す時代へ!
――では最後に本プロジェクトへの意気込みをお聞かせください!
工藤:『# アニコレ レジェンド』を開催するにあたって、最初は小規模でやった方がいいんじゃないか……という議論もありました。
けど、僕は〝レジェンド〟の名前を使って、昨年復活した大会を休止にしてまで、今までの『Legend Tokyo』と同じ規模・会場でやるべきだと貫いて今大会を始動させました。
だって、そこまで「本気なんだ!」って覚悟をみせないと挑む側も本気になれない。シーンは何も変わらないんです!
けいたん:本当にそれですよ。そういう大人を待ってたんですよ、僕も!これ、マジで世界をひっくり返そうって話をしてるんで。
だから今までの既成概念に囚われないでトライしてみて欲しいって感じですよね!
――本当に今からどんな戦いが繰り広げられるのか楽しみですね!
けいたん:韓国のK-POP だってしっかり考えて仕掛けた人がいたからこれだけ世界を変えた。日本の振付師がアニソンでダンス作品をつくる、それは「韓国人が西洋の曲でなくてK-POP でダンスをつくる」ほど大きな変革だと思うんです!
日本の振付師の方々の実力って本当にすごいと思っています。だからこそ、世界を見据えていかないともったいない。
日本人が生みだして、日本人しかできなくて、この小さい島国が世界中の80 憶人を相手にできて、「これは俺たちのものです!」ってハッキリ言いきれる、それがここにあるんですから!
工藤:世界のダンサーたちがアメリカを目指すのではなく、日本を頂点として目指す。
今度こそ、そういう新しいダンスシーンをこの大会で確立していきたいですね!
大会アンバサダーにRABが就任!
アニメ×ダンス文化のパイオニア、REAL AKIBA BOYZが大会アンバサダー&アドバイザーに就任!
彼らの活動にも要チェック!
profile:レペゼン秋葉原のオタクB-BOY チーム。ネット上の関連動画総再生数は5億を超え、ブレイキンをはじめダンス全域における大会で日本代表として世界大会に出場する実力を持ちながら、アニメ× ダンス文化の立役者として活躍中!YOASOBI やTravis Japan などのアーティスト・コラボをはじめ数多くの企業CM コラボ、文化大使として海外フェスへの出演など名だたる活躍を誇る。
大会アンバサダーにRABが就任!
10月19-20日に大宮ソニックシティで開催される大会本戦に先駆けて、6月1日、パルテノン多摩にて本戦出展権をかけた公式予選大会が開催!
いざ、記念すべき歴史の〝ファースト・レジェンド〟の座を目指せ!
大会概要
【大会名】Anime Choreography Legend 公式予選大会
【日程】2024年6月1日(土)
【会場】パルテノン多摩大ホール
出展概要・ルール・エントリーはこちら!
https://legend-creative.jp/a-legend/qualifying/
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