七色に世界を照らす究極愛「誰にもまねできない鮮烈すぎる〝レジェンド〟」avecoo

カルチャー
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自分にしか作ることのできないものを作る―。
どれだけのクリエイターがそれを形にできているだろうか。

ここに自分の色で輝くことにこだわり続ける者がいる。
東京国際フォーラム・ホールAでの激戦を制し、
みごと7代目〝レジェンド〟に上り詰めたavecoo。
真似し、流され、誰かになることは簡単だが、
自分を見いだし、貫き続けることは難しい。
雨のち虹……、頂点までの歩みと想いに迫る。

avecooインタビューはこちら!

※この記事はSDM vol.62に掲載されていたものになります。

この地球上の すべての人たちへ 愛を込めて、 虹色の花束を

『Legend Tokyo Chapter.7』最優秀作品賞〝Legend〟
avecoo作品「あべ子といち子」

ダンスシーン史上初、〝東京国際フォーラム〟という国内最高峰のステージで開催された今大会。ベテランに若手も入り交じり、実に多用な表現の作品が披露された中、頂点を掴み取ったavecoo作品は果たしてどのような作品で〝レジェンド〟の座を掴んだのか? 今大会、最優秀作品を徹底レビュー!

自らのセクシャリティを基に描いた、 どこにでもある〝愛〟のカタチ。

『Legend Tokyo Chapter.4』において準優秀作品賞〝セミ・レジェンド〟を受賞したavecoo。以後、受賞作「阿部魁」は数々の場所で披露され、自身の代表作と言うべき存在になった。
そんな〝花魁スタイル〟を脱ぎ捨て、新たな作品で3年ぶりに挑戦する〝レジェンド〟のステージ。大会としては初の過去セミ・レジェンド受賞者の挑戦であり、「いつまでも『阿部魁』の栄光におさまるつもりはない」と公言していただけあって、自然とその作品に注目が集まっていた。
大会終盤、披露されたのはウェディングソングの王道曲に合わせてパフォーマンスが繰り広げられる〝女性同士の結婚〟を描いたもの。そう、自らをオカマであり男性愛者と公言する自らのセクシャリティをくくる〝LGBT〟がテーマと言える内容だ。
力強い振付や巧みな構成展開にavecooらしさは見えるものの、やさしげな曲調にのせて表現される朗らかな恋愛模様、全身がベージュの衣装など、全編が華美な演出の「阿部魁」と比べるとどこかパンチが弱い……。そう思ったのも束の間、物語は相手への不信感や親の反応など、LGBT当事者ならではの悩みが魅せる身体表現で描写されていき、会場の空気を静かに引き込み始める。
作品終盤、互いに悩み抜いた末、手を取り合ってバージンロードを歩く2人、それを華やかに囲む虹色の衣装のダンサーたちが、最高潮の感動を会場に巻き起こす! 最後に全員が舞台一列に並び、誇らしげにピースサインを掲げる……。その姿はavecooの作品の普遍的テーマである「人は1人では生きていけない」ということを表しているようにも見えた。
そして「過去の自分を超える」という大会前の公言通り、東京国際フォーラム・ホールAという大会初となる最高峰の劇場でavecooは、みごと最優秀作品賞〝レジェンド〟の栄冠を掴み取った!

作品のストーリーは女性同士の恋愛と結婚。性別は逆転しているものの、自らをオカマであり、男性愛者と公言するavecoo自らの経験が投影された深いテーマだ。
作品後半の衣装は〝虹色〟がテーマ。これはLGBTの社会運動を象徴するアイテムとしてレインボーフラッグ(虹色の旗)が使用されていることにちなんだ演出だ。

※性的少数者を限定的に指す言葉。女性同性愛者(レズビアン)、男性同性愛者(ゲイ)、両性愛者(バイセクシャル)、トランスジェンダーの頭文字をとった総称。

なぜ多くの人の心を動かしたのか? 作品の魅力を徹底解剖!

自身のセクシャリティを基にしたテーマ


今まであるようで無かった、女性同士の恋愛と結婚、つまり〝LGBT〟を正面から描いた作品。avecoo自らの経験や感性が存分に活かされていると思われる描写が随所になされている。

抜群の身体能力によるスピーディーな振付!


男性らしさと女性らしさ、両方の感性を併せ持つ(?)振付師、avecooならではの、鍛え抜かれた筋肉が必要とされながらも、しなやかでスピーディー、かつパワフルな振付け必見!

快で印象的な身体表現


作品中、特に強い印象を残した、複数のダンサーで表現される「目」の表現。性的少数者に対する社会の目、もしくは恋人自身の疑いの目……? さまざまな想像を思い起こさせる〝不安〟の心理描写を鮮烈に描く。

魅せる早替え!


前半のベージュカラーのシンプルな衣装から一転、後半はレインボーカラーをベースにした華やかな衣装! 衣装の早替えも〝魅せる演出〟として披露するavecooならではのこだわりで、今回は音ハメで着替える技アリ演出であった!

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