人は1人では生きていけない! LGBTを表現したavecooの想いとは!?

インタビュー

レインボーに想いをこめて、描きたかったのは 悲劇ではなく人生を謳歌している姿――。

『Legend Tokyo Chapter.7』において、レジェンドとなったavecoo。海外では広く受け入れられたLGBTを大きなテーマとした作品をつくり、今なお世界から賞賛をうけている「あべ子といち子」に込められた想いをインタビュー!

作品はこちら!

※この記事はSDM vol.62に掲載されていたものになります。

avecoo
PROFILE
山口県出身。アーティストのバックアップや振付を行なう一方、ダンススクールではインパクトのあるパーソナリティと愛のこもった熱い指導で人気を集める。また、作品づくりにおいてはまさに〝ゲイ振り〟といったJAZZ FUNKスタイルと強烈すぎる世界観とステージングを武器に、毎年〝真骨頂〟ともいえるクリエイティビティを発揮している。

怖かった、でも 失うものは何もなかった。

——率直に、優勝されてご感想をお願いします!

純粋にめちゃくちゃ嬉しかったです。というのもアタイのモチベーションをどこに持っていくかを一番悩んでいて……。3年前は〝絶対優勝〟と挑んで、今年もはじめは〝狙うは1位〟だったのが、作品ができていく中でテーマがテーマだけに徐々に〝伝えたい〟へと変化してきて、それがアタイの中で勝負から逃げてしまっている気がしてずっと不安だったんです。でもそれはメンバーの前では決して口にできないし――、作品以上に最後まで気になっていたので、最高の結果で終われて本当によかった!

——作品以上に気持ちの部分を気にされていたんですね! メンバーのモチベーションはいかがでしたか?

それぞれで色々あるとは思いますが、その子の状態を見て「今はわざと下げて、あとで上げてあげる」とか――、結構そこのコントロールは得意で上手くいったと思います。3年前はそこが反省点だったので、気は使っていましたね!

——再挑戦を決めたその理由として、心境の変化などがあったのですか?

当時は2度と出ないと思っていて、大会のことはあまり考えていませんでした。ぶっちゃけ、セミ・レジェンド(準優秀作品賞)のままの方が気持ち的に楽だし、負けるのが怖いって逃げていたんだと思います。でもメンバーに相談したら「相談するってことはavecooさんやるでしょ? だったら私たちもやります。それに失うものも何もないですよね?」って――。

周りの方がアタイのことを自分以上によく理解していて、彼女たちがいてくれたことが大きかったですね。そういった意味で前回負けた後にカンパニーとして活動し始め、舞台やさまざまな現場を経験して、信頼関係があって意思疎通できる環境が整ってきて、今なら勝負できると決心できたのだと思います。


LGBTQ+を表すレインボーフラッグを思わせるレインボーカラーな衣装。同性愛を中心とした立ちふさがる壁を、作品を通して伝えられていく。

嘘っぽいダンスは絶対に許せない!

——作品はavecooさんならではのテーマでしたね!

NYで開催された世界最大のゲイパレードに訪れて参加者の方々とお話をしたことがきっかけで、やはり私に表現できるのはこれだと決めて――。でも実際に考えると中途半端に表現できる題材ではなくて、最初はLGBTの話からしていったのですが、やっているうちに本質的にはどんな人にも当てはまるテーマなんだというのが分かってきて、徐々に心から踊れるようになっていったと思います。
やっぱりメンバーがストレートな子ばっかりの中でどこまで落とし込めるか、東京のLGBTの聖地である新宿2丁目に連れて行ったりもしましたね。

——そこまでされたのですね! やはり観ている人に伝えるためには踊り手の理解度が……。

それももちろんありますが、アタイ自身が〝噓っぽい踊り〟が大嫌いなんです。例えばスキルは申し分ないキッズダンサーが、大人の恋愛の曲を意味も分からず〝大人ぶって〟踊るのをよく観るんですが、それよりアタイは下手でも踊り手の気持ちが伝わることを大事にしたい。だからキャストの2人はもちろん、ダンサー1人ひとり、納得いくまで指導しましたね。

——本番を観て、そこは達成できていたと感じますか?

実は正面から観ることができず舞台袖からだったのですが、結果として伝えることはできたのではないかと思います。ぶっちゃけ映像で観たら全然動きが揃っていませんでしたが、大事なのはしっかり気持ちを出すことなので……。

——では作品づくりに関してお聞きしていきます。なぜあの曲や物語にしたのでしょうか?

寝る前にYouTubeを観ていて、ポンッと直感で……。結婚をイメージしていたわけではないんですが、その頃に知り合いの同性愛者同士の結婚があったりしたのも重なったのか、アタイの中でしっくりハマったのかも知れません。ゲイパレードで話を聞いた時も、苦しんでいるというより人生を楽しんでいるイメージで、アタイには珍しく明るくて前向きなハッピーエンドの作品ができました。いつもなら苦しんで命を絶っちゃう生き様やバッドエンドの展開を考えると思うんですけど(苦笑)


赤と青のネクタイをしたダンサー。スーツや色など、男女で区別されがちな日本人社会をイメージされている。

救ってくれたのは、2丁目の友達だった!?

——実際に作品づくりをしてみていかがでしたか?

すごく難しかったです。自分で選んだ曲なのに振付がまったく作れなくて苦しみました(笑) 素直な曲のイメージで綺麗にクルクル回ってみたりしたんですが、まったくしっくりこなくて――。普段なら作品の頭から振付を作っていくんですけど、どうしても出てこなくて、はじめてサビから作りました。
結果として苦労はしましたけど、いままでのアタイの振付とも少し違う、より人間味があって力強さの伝わる振付ができ上がりましたね!

——印象に残るシーンがたくさんありました!

ダンスの構成自体は「阿部魁」などに比べるとかなりシンプルになっていて、最初は音源も原曲の一曲使い、全体の流れももっとストレートだったんです。そのままある程度でき上がった段階で何人か2丁目の友達に観てもらったら「あんたらしくない」って言われて……。そこから考え直して中盤の暗い〝目のシーン〟を追加したんですが、変えてよかったと本当に思います。
最後は自分で見極めて判断しますが、やっぱり自分だと見えなくなる部分もあるので、積極的に他人の意見を聞くようにしています。本当に助けられました。


時に男性に揺れ、母親と理解されずにぶつかるなど、女性同士の関係に葛藤する相手役の女性。そしてそれを見つめる大きな2つの目は、主人公の女性の心の目を表している。

人は1人では生きていけない―― たくさんの人に支えられて私がいる。

——当事者の方々の言葉がやっぱり参考になったんですね!

テーマに対してのリアルな意見もそうですけど、あの人たちは感じたことをありのまま言ってくれるので、いつも本当にお世話になっています! 作品を披露した後の挨拶タイムも、DAY.1を観にきてくれたオカマのお友達が「あんたキレイ売りしすぎ。もっとやりなよ、気持ち悪い。」って毒を吐いてくれて……、DAY.2では堂々と舞台に立てました!

——確かに他のコレオグラファーがみなさん会釈をする中、あのレインボーフラッグを掲げた姿は印象的でした!

大会後も嬉しい言葉をたくさんいただきつつ、「調子に乗るんじゃないわよ」って厳しく言ってケツを叩いてくれるので、これからも天狗にならずもっと上を目指していけそうです。オカマの友達はもちろん、いつも一緒に作品づくりをしてくれるメンバー、活躍の場を作ってくれる大会スタッフの皆さんなど、そういったサポートしてくれる方がいてこその私、その有り難さを強く感じた挑戦でしたし、これからも感謝を持って大事にしていこうと思いました!

——レジェンド作品「あべ子といち子」を通して、今後はどんなメッセージを伝えていきたいですか?

はじめに込めたのは〝LGBTのことを知って欲しい〟という思いでしたが、セクシャリティだけでなく様々な悩みを持ったマイノリティの方々を勇気づけられることができたらと考えています。絶対に実現したいのは学校での披露ですね! 思春期で悩んでいる子もたくさんいるだろうし、大人よりもこれからの社会を作っていく子どもたちに伝えたいです。〝ちゃんと生きていていいんだよ、ひとりじゃないんだよ〟って――。

誇りをもって、アタイらしいレジェンドに。

——avecooさん自身もやはり同時期に悩まれた経験があるのですか?

あったかもしれないのですが、忘れたのか、覚えてないんですよね(笑)。でも家族に聞くと周りからすごく言われていたみたいで……。それでも、レジェンド受賞後、姉が「お前らがバカにしていたオカマの弟が1位なったぞ」ってSNSで自慢してくれて、すごく嬉しかった――。
いまの時代なら学校にも受け入れてもらえると思っています。私も支えられて生きてきたように、当事者だからこそ1つの形としてこの作品を伝えていきたいです。気持ち悪いと思われてもいい、興味をもって受け取ってもらえさえすれば!

——では最後に、7代目レジェンドとしての決意をお聞かせ下さい!

『FINAL LEGEND』や企業イベントなどで何度も「阿部魁」を再演させていただき、アタイの代表作として確立していただいたと思っています。振り返るとこの3年間は、それを越えて『Legend Tokyo』で勝つにはどうしたらいいかずっと考えていたのかもしれません。レジェンドという存在があったからこそ、それだけ作品を創る価値も出てきましたし、コレオグラファー、そして作品を高めてくれる場所があって本当に良かったと痛感しました。
ただ、今回で認められたと思っていませんし、また誰かが追いかけてくるし、歴代のレジェンドの方々も大活躍しています。感謝の気持ちを忘れず、アタイにしかできない次なる目標に向かって走っていきたいです!


使用楽曲でもあるSuperfly「愛をこめて花束を」には一度として性別に対する表現がない。何色にも染められていない白いウエディング衣装に、〝人は一人では生きていけないけれど、自分に自信を持って〟と、avecooからのメッセージが込められているようだ。

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