Legend UNIVERSE 2019 審査員インタビュー ~コレオグラファーの視点~

インタビュー
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日本のダンスシーンの黎明期から第一線で活躍し続け、近年では数多くの若手コレオグラファーを輩出し続けている日本女子体育大学の講師としても名高い石川浩子。ダンサー、振付師、演出家として自らの輝かしい経験を活かし、現在は教育者としての活動に重きを置いている彼女が考える作品づくり、そして生き残れるダンサー像とは!?

日本の大学初となるダンス学科・講師をつとめるジャズダンス界を代表する重鎮!

ダンサー / 振付家
日本女子体育大学 運動科学科・舞踊学専攻 専任講師
石川 浩子

Profile:90年にTV番組「ダンスダンスダンス」のレギュラー〝MEGAMIX〟のメンバーを経て、安室奈美恵・郷ひろみなど多くの有名アーティストの振付、バックダンサーをつとめる。CMやPV、TV出演なども数多くこなし、舞台公演の主催、演出も手がける。近年では日本女子体育大学の講師に就任し、次世代の教育に力を入れている。

〝逃げ〟の演技や照明はいらない。
まずは身体1つの表現で通用する芸術家であれ。

かなり先進的! ダンス学科が誕生する大学。

――石川浩子さんは現在のお仕事の中心は大学の先生なのですよね?

そうですね、振付やレッスン、テレビに出ることもありますが、日本女子体育大学での講師がメインになりますね。普通は大学の講師になるのは大学院を出てからなるものなのですが、私の場合は活動歴から判断していただいて就任しました。

――日本女子体育大学は『Legend Tokyo』にも参戦する多くの振付師を輩出されていますが、〝舞踊学専攻〟があるんですよね?

日本女子体育大学はダンスに関してかなり先進的で、大学で初めてジャズダンスの研究室を作ったり、他の大学にはあまりないバレエの実技系と講義系の座学が充実しています。さらに来年からは日本の大学では初となる〝ダンス学科〟ができるんです! これは国がダンスを認めた証で、ダンスという〝学位〟が取得できるんです。この肩書は海外のダンス系の教育機関に留学するときなどにとても役に立ちます。

――すごい時代になってきましたね! 石川浩子さんは実際に授業ではどのようなことを指導されているのですか?

ダンスの授業はもちろん、3、4年生が入る研究室では作品創りの指導もしています。ただ作る技術ではなくて、メンバー同士どうやって歩み寄りながら作品を作るのか?
それと学内にホールもあるので照明や音響の勉強もさせています。今の時代、プレイヤー(踊り手)だけでは生き残れないと思いますので、やはりプレイヤーとしても創り手としても通用する総合的な芸術家を育てたいとかんがえております!

――では石川浩子さんが考える〝生き残れるダンサー〟とはどういう人でしょうか?

今の時代、上手い人ってたくさんいるじゃないですか!? そういうご時世の中では、それこそ、ただプロになりたいだけなら専門学校やダンススタジオでもいいと思うんです。でも、ちゃんと踊りで自分を表現できないと、長く生き残れないと思いますね。ただ、もう一つの道として、教え(レッスン)に特化して地元で密着すること。それで長く活躍されている人もたくさんいらっしゃると思います。

暗転禁止⁉ 踊りで表現できることまで逃げちゃダメ。

――では作品創りでは、どのようなことを大事に指導されていますか?

クラブでショータイムをするのか? 小ホールで見せるのか? 大きな舞台で公演をするのか? 披露する場所によって創り方が違うことは学生に指導しています。ただ、環境にあるもの全部を使う必要はなくて、特に私はあまり照明にこだわらずに作らせますね。照明に頼ると勉強にならないし、移動も含めてダンス作品なので〝暗転禁止〟も強く言っています。

――まずはしっかりと身体1つで表現することが重要なんですね!

ずっと同じ照明でも充分に魅せられる作品はできますし、照明とか小道具とかあまりごちゃごちゃ入れ過ぎちゃうとダンスが見えなくなってしまいます。だから〝ダンス作品〟というからにはちゃんと踊って欲しい! 個人的には演技とか入れるのは好きじゃないんですよ。

――今のダンス作品って、結構ストーリーや演技を入れるものは多くなっていますよね。

それがどうしても必要な演技であればいいんですよ! でも単に踊りで表現するのが難しいから〝逃げ〟として演技になるのはダメ。だからこそ私は道具や演技を使わずに、逃げずに踊りだけで表現することを強く学生に指導しています。やはりダンス作品を見るときは、とにかく踊りが見たいですし、踊りで表現してもらえればかわいい振付でも楽しい振付でも感動しますね。

――審査員をつとめる『Legend UNIVERSE』では「こういうダンス作品を見てみたい」という想いはありますか?

ジャンルは特に関係無く、かっこよければいいですよ。あとは人のマネではない作品が見たいです。特に私たちの若いときって教えてくれる人や勉強できる環境もなかった。貴重な海外のビデオを見て、そこから自分たちのイマジネーションでダンスを創造していた時代。でも今は映像も勉強できる環境も多すぎる。そういった環境の中で自分の引き出しをたくさんもって、「こういう作品があるんだ!」って思わせてくれるような作品に出会いたいですね!

この業界からのアドバイス!

踊り手としても創り手としても、道具、演技、照明などに頼らずに、まずは踊り1つで表現できるようになること!

Job File


日本女子体育大学専任講師
近年では数多くのコレオグラファーを輩出し、日本の大学では初となる「ダンス学科」も設立される日本女子体育大学同大学の講師を務める。ジャズダンスの研究室を担当し、ダンス実習・作品創りを指導している。

 


MEGAMIX
90年代に一世を風靡したダンス番組「ダンスダンスダンス」のレギュラー・プロダンスチームMEGAMIXのメンバーとして活躍。MEGAMIXはその後、小室哲哉プロデュースにより、TRFとなった。

 


舞台公演『THE WITCHES』
2005年には石川浩子に加え、原田薫、YOSHIE、JuNGLE、港ゆりかといった日本ダンスシーンにおいて各ジャンルを代表する大御所女性ダンサーたちが集結した舞台公演を旗揚げ、演出。大きな話題となった!

 


安室奈美恵「Say the word」MV
「Say the word」にて原田薫とともに日本人ダンサーでは初めて安室奈美恵のMVに出演。そのほか郷ひろみ、MAXなど名だたるアーティストのMVやライブ出演、振付などを手がけている。

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