近年、オリンピック競技に採用されたブレイキンにおいて、数々の世界大会で活躍し、海外各国のシーンにその名を轟かせつづけている日本最高峰のB-BOY CREW「MORTAL COMBAT」。個々のスキルはもちろん、ショーつくりにおいても世界屈指の実力をもつ彼らのクリエイティビティに迫る特別インタビュー!
現在8名で活動する MORTAL COMBAT(以下略:モーコン)。今回はオリジナルメンバーであるKAKU、10年以上の活動歴を誇るYA-SU、MAHHAに彼らのショーケース作りの秘訣を語ってもらった!
MORTAL COMBAT
(写真左から)RIN,YA-SU,MACCHAN,SHOYA,KAKU,MAHHA,YOO,RYOMAからなる日本を代表するB-BOY CREW。2003年に結成以降、数々の世界大会で優勝し、そのショーケースやメンバーの技は世界中のダンサーから賞賛を集めている。その他バックダンサーやメディア出演、映画出演に加え、次世代ダンサー育成やダンススタジオ運営、イベントオーガナイズなど、その活動は多岐に渡る。
今のメンバーだからこそできる新しいことにチャレンジしたい。
——普段のショー作りはどのように進めているのですか?
YA-SU:基本的に振付やネタはメンバーみんなで話し合って決めていますね。ただそこに行き着くまでの〝曲〟の部分がすごく大事で、その曲作りや曲選びはRYOMAが中心にやっています。
KAKU:ちょうど今、僕らとしても新しい挑戦をしている最中で、昨年は今までとはまったく違った切り口と曲でコンテストに向けてショーを作りました。結果、高い評価をいただいて『JAPAN DANCE DELIGHT』で5度目の優勝を飾ることができました。
——既にショー作りには定評がありますが、新しい挑戦をされる理由はなんですか?
YA-SU:チームのメンバー入れ替わりもあり、今まで評価をいただいたショーって〝昔のメンバーだからできたこと〟でもあるんですね。そこを同じようなことをやって超えようとするのではなく、今のメンバーだからこそできる新しいことにチャレンジしていきたいんです。
——そういった新しい切り口の作品づくりをする時、一番大きなポイントは何ですか?
MAHHA:そこは完全にRYOMAの音楽センスですね。もともとフランス育ちでお父さんが世界的に有名な音楽家ということもあって、根本的に音楽に対する感覚がずば抜けてます。
YA-SU:それと映画からインスパイアされて「この映画よかったからこういうショーやってみようよ」という発想もありますね。
KAKU:過去のショーは「トロン」や「トゥームレイダー」、昨年のショーは「テネット」をイメージして作りました。「僕たちのブレイクダンスというフィルターを通してそれをどう表現できるのか?」という発想でよくショーを作っています。
これは自分たちの良さ。そう気づけた時からできた信念!
——映画の世界観をそのままショーに創りあげるイメージでしょうか?
MAHHA:いや、「映画の世界観を全部表現しよう」というわけではなくて……、例えば「テネット」をイメージしたショーだったら、映画の重要な要素〝逆再生〟をダンス的に落とし込んだり、「音はゆっくりだけど動きは速い」とか「不規則に見える構成」というように映画の特徴的なイメージを活かしている感じですね。
——いわゆる一般的なブレイキンのショー作りとは一線を画した作り方をされているように思えますが、なぜそのようなことができるのでしょうか?
KAKU:それはまさしく今僕らがやっているショーのタイトルでもあるんですけど、「DARE TO
DIFFER」、〝他と違うことを恐れるな〟という考えが根底にあるんです。2003年に初めてチームとしてショーを作ったコンテストの時、あまり他のチームがやらないような作り方で、優勝はできなかったんですけど海外の審査員から名指しで褒めてもらえたことがあって。その時から「これは自分たちの良さなんだ」って、自分たちのショー作りの信念ができた気がします。
MAHHA:僕ちょうどその時、お客さんとしてそのコンテストを見ていました(笑)。今までのブレイキンのショーとはまったく違う印象があって、優勝したチームのショーは憶えてないですけど未だにモーコンのあの時のショーは印象に残ってますね。
〝何かを生みだすのが好き〟なメンバーだから歴史を作ることができた。
——なるほど、チーム結成当初の2003年から他とは違ったショー作りをされていたんですね……!
MAHHA:それと、メンバー全員がユニバーサル・スタジオ・ジャパンでのパフォーマー経験があり、「一般の人に見せる」という点に関しては普通のB-BOY が踊らないようなところでやっているので表現力は鍛えられていると思いますね!
YA-SU:あと昔から「1位になるのが好き」ではなくて、「何かを生み出すのが好き」なチームだったから、メンバー個々で新しい技を披露したり、世界のシーンを変えることができてきたんだと思います。
——「世界のシーンを変える」とは具体的に何があったのですか !?
KAKU:「世界で初めて」、「この人しかやってない」というトリック(ムーブ)を披露して、一世を風靡した感じですね。
MAHHA:世界中のB-BOYが憧れてマネして、ある意味ブレイキンの世界の歴史を作ったというか、世界中がKAKUやRYOMAの技を追いかけていた感じですよ。
——ショー作りだけではなく、個々のスキルやワザも本当に世界トップレベルなんですね……!
KAKU:あと、ショーの曲もよくあるブレイクビーツとかじゃなくて、アッシャーとか50セントの曲を使って海外の世界大会に出ましたね。会場がもうライブ会場みたいにノリノリになって(笑)、その時のショーを気に入ってくれていろんな国に招待されたりしました。
海外では日本で聞いたことのないような曲が流れる⁉
——そういった海外の現場やチームから影響を受けていることはありますか?
YA-SU:メンバーみんなコミュニケーション能力が高くて、海外だと色んなジャンルのダンサーと仲良くなってそこから刺激を受けることも多いですね。複数ジャンルがあるバトルだと、ブレイキンよ
りもポッピンのバトルに食いついて見てたりします(笑)。
MAHHA:確かにブレイキン以外から刺激を受けることは多いですね。海外だと聞いたことのない曲いっぱい流れるし。
YA-SU:台湾行った時とか和田アキ子の曲流れたりしたよね? あと太陽に吠えろのテーマとか、ダンスイベントで流れないような曲が流れたりするんです(笑)。
KAKU:しかもそれを流しているDJがドイツ人っていうね(笑)。
MAHHA:ほんと海外の人は自分の好きなことをやりきりますね。
YA-SU:で、思いっきりすべる時もある(笑)。
MAHHA:それは僕らも同じで(笑)。これ受けるだろうなって思ったショーが全然受けない時もあるし、その時はすぐ次から改善していきますね。
爆発的なソロムーブだけどその合間が弱かった?
——YA-SUさんとMAHHAさんは加入された 2007年のモーコンはどのような印象がありましたか?
YA-SU:僕らが加入した2007年当初は、「爆発的なソロムーブがあるけどその間のシーンが弱いのかな?」という印象だったので、そこを整えるように努めました。例えば「誰かのソロの時、他のメンバーは後ろで見ているだけ」というのをポーズを付けて待つようにしたり。常にお客さんに観られている意識を持つようにして、元々ある武器の合間の隙を埋めてショーアップすることを徹底した感じですね。
KAKU:もっとチームのショーアップをしていきたいという想いから、2 人をスカウトしたんですよ。
——2人が加入されたことでモーコンが進化していったんですね!
KAKU:2人が入ってすぐに『JAPAN DANCE DELIGHT』で優勝することができたのがモーコンにとってのショーケース革命であり、大きなタイトルになりましたね。
MAHHA:それに加えて、2007年は韓国で開催された世界大会でも優勝できたので、僕らにとって自信のついた年になりましたね。
死ぬまで戦って、常に新しいことにチャレンジしていく!
——最後に今後のチームとしての活動の展望を教えてください!
YA-SU:常にチャレンジしていきたいですね! ダンスイベントだけでなく、いろんな場所でモーコンをレペゼンしていきたいと思っています。今は学校公演などもしているので、子供たちにもブレイキンの良さやかっこよさを伝えていきたいと思っています!
MAHHA:ダンサーやB-BOYがパフォーマンスをしたことのない場所や舞台で踊ってみたいですね。「モーコンが初めてあそこで踊ったよね」って言われるような! バトルやショーでもちゃんと結果を残しながら、新しいことを切り拓いていきたいです!
KAKU:チーム名には「死ぬまで戦う」という意味もあるので、いろんなシーンで戦い続けていきたいと思っています! 来年がちょうどチーム結成 20 周年なので大きいことを準備していたりもしますが、色んなことに挑戦して、「あいつら新しいな、変わってるな」って思われるように頑張っていきたいですね!
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